脳卒中・うつ病・認知症に共通するリスクとは?予防に役立つ新研究
脳卒中、うつ病、認知症。どれも高齢期にぜひとも避けたい深刻な脳疾患だ。これらに共通する「リスク因子」を明らかにした研究結果が発表された。マサチューセッツ総合病院などの国際研究チームが59本の論文をメタ分析し、生活習慣の改善で発症リスクを下げられる可能性を示したのだ。
予防の鍵は「運動」「知的刺激」「適度な飲酒」
分析の結果、脳の病気を遠ざける主な要因として以下が挙げられた。
・定期的な知的活動(読書やパズルなど)
・中~高強度の身体活動
・人生の目的意識
・低~中程度の飲酒
特に知的刺激と運動は高い予防効果を示した。研究チームは「生活習慣を最適化すれば、健康寿命を延ばす可能性が高まる」と指摘している。

高血圧・高血糖・喫煙が最大のリスクに
一方、リスクを高める要因として最も大きかったのは高血圧だ。脳卒中のリスクを最大3倍に高めるという。また、高血糖、腎機能低下、睡眠障害、喫煙、肥満も発症に関連が深い。社会的孤立やストレス、聴力低下も無視できないリスクとされる。
過去の研究では、血圧を積極的に下げた高齢者グループの認知症発症率が、他グループより15%も低かったという報告もある。
複数の病気が連鎖するリスクも
研究チームは「これらの疾患は互いに関連しやすく、1つ発症すると他も続けて起きるリスクが高まる」と警告する。だが裏を返せば、予防対策を講じることで複数の病気を同時に遠ざけられる可能性があるということだ。
健康寿命を延ばす生活習慣はシンプル
予防のために求められることは意外なほどシンプルだ。適度な運動、バランスの良い食事、禁煙、飲酒は控えめにするということである。よく言われるこれらの基本が、実は最も効果的な対策だと今回の研究は教えている。