犬の咬傷で6人死亡…ワクチン接種率の低さに懸念

インドネシアの観光名所であるバリ島で、狂犬病の感染拡大に対する懸念が高まっている。観光客に人気のバドゥン県クタ地区などを「赤色区域」に指定し、現地当局は緊急のワクチン接種と感染対策に乗り出している。
地元メディア「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、7月に入ってから各地で少なくとも1〜2匹の犬が狂犬病陽性と診断された。これを受け、保健当局はバドゥン県での大規模なワクチン接種を開始した。
バリ州全体では、今年1〜3月の間に8,801件の動物による咬傷事故が報告され、少なくとも6人が死亡している。また、西部のジャンブラナ県では1〜4月に1,906件の咬傷事故が発生した。
バリ島では2008年から毎年予防接種キャンペーンを実施しているが、接種率の低さが課題となっており、狂犬病の再発が繰り返されている。州都デンパサールでは、犬全体の3%がいまだに予防接種を受けていないという。
狂犬病は、犬、猫、アライグマ、コウモリなどを介して人間にも感染する致死率の高いウイルス性疾患である。発症後の致死率はほぼ100%だが、感染直後の洗浄とワクチン接種により発症を防ぐことが可能とされている。
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