飛行機に乗ると「1級発がん物質」を吸っていた…?客室の空気状態に衝撃

航空機に搭乗する際、乗客が深刻なレベルの超微小粒子状物質にさらされていることが、研究によって明らかになった。
国際学術誌『Environment International12月号に掲載されたフランスのパリ・シテ大学の研究チームの論文によると、シャルル・ド・ゴール空港を出発する欧州路線の航空便で客室内の空気質を測定した結果、乗客の搭乗時に客室内の超微小粒子濃度が急激に上昇することが確認された。
研究チームは、客室前方の空席や機内前方のギャレー(調理室)付近に測定機器を設置し、乗客の搭乗開始から降機まで実際に同乗しながら超微小粒子濃度を観測した。
その結果、航空機が地上に停留している間に、客室内の超微小粒子濃度が大きく上昇する傾向が見られた。搭乗ゲートで乗客を乗せる際には1立方センチメートル当たり約2万2,000個、離陸前の地上走行中には約2万1,000個に達し、これは世界保健機関(WHO)の基準値平均を約2倍上回る水準だ。
研究チームは、開放された搭乗口や空調システムを通じて汚染された外気が機内に流入した後、十分に排出されなかった可能性があると説明している。
航空機が上空を飛行している間は、むしろ超微細粉塵の濃度が低下していた。巡航高度に達すると外気が比較的清浄になるため、機内に滞留していた汚染空気が徐々に排出され、超微細粉塵濃度も下がる。一方、着陸のため空港に接近すると、再び濃度が上昇する傾向が確認された。超微細粉塵は、世界保健機関(WHO)が1級発がん物質に分類する有害物質で、呼吸器だけでなく心血管系にも悪影響を及ぼすことから、特に高齢者には注意が必要とされる。
石炭や石油などの化石燃料が不完全燃焼する際に発生する黒色のすす、いわゆるブラックカーボンも、超微細粉塵とほぼ同様の傾向を示した。航空機が地上に留まっている間に濃度が最も高く、上空を飛行すると低下した。ブラックカーボンも粒子が極めて小さく、肺の奥深くまで侵入し、血管に入り込むことで心血管疾患や呼吸器疾患を引き起こす恐れがある。
研究チームは、超微細粉塵の排出量を最小限に抑えるためにはエンジン設計の改善が極めて重要だと指摘した。その上で、客室内の汚染物質をより効果的にろ過・除去するシステムを強化すれば、航空機が地上にある間の乗客や乗員の汚染物質への曝露をさらに低減できるとしている。













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