
約15年前に形成され、凍結保存されていた胚から出生した男児が、現在4歳となり健康に成長していることが分かり、話題となっている。
19日(現地時間)「中国新聞網」などによれば、中国・中信(CITIC)湘雅生殖遺伝病院は、約15年間凍結されていた胚を用いて出生した男児を4年以上追跡観察した結果、健康上の問題は確認されなかったと明らかにした。
男児の両親である夫妻は、2005年に同病院で検査を受けた際、自然妊娠の可能性が極めて低いとの診断を受けた。妻は卵巣卵管炎の影響で妊娠が難しく、夫も精子の異常率が98%に達していたためである。
これを受け、医療チームは不妊治療を実施し、妻から採取した18個の卵子に対し、選別した夫の精子を用いて12個の胚を培養することに成功した。

当時、妻には2個の胚を移植し、2006年に健康な双子の女児を出産。残りの10個の胚は、マイナス196℃の液体窒素タンクで保管された。
夫妻は2020年に第2子の妊娠を希望したが、既存の不妊要因に加え年齢の問題も重なり、妊娠はさらに難しい状況となった。凍結から15年が経過しており、胚移植による成功も確実ではなかった。
中信(CITIC)湘雅生殖センターの唐怡副センター長は、「従来の治療法では成功率が非常に低い」とし、排卵誘発剤を使用せず自然の月経周期に合わせて胚を移植する“自然周期凍結胚移植”を提案した。
研究チームは10個すべての凍結胚を解凍し、胚盤胞まで培養したうえで、移植に最も適した胚を選別し移植を実施。夫妻は2021年、健康な男児を出産した。
桂帆副センター長は「凍結胚の損傷は主に凍結・解凍の過程で発生し、液体窒素による保存中には生じない。極低温(マイナス196℃)で凍結すると細胞代謝はほぼ停止するため、理論上、安定した条件下であれば無期限保存も可能だ」と説明。その一方で「一般的には5年以内、最長10年程度での利用がより安全とされる」と補足した。
また今年7月には、米国オハイオ州の夫妻が、30年以上凍結保存された胚を用いて子どもを出産し「凍結胚を利用した最も古い出産記録」として認定された。















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