
世界最大の自動車メーカーである『トヨタ』が、主力車種の新車販売サイクルを延長する方針である。
16日の『日本経済新聞』によると、『トヨタ』は車種の全面改良サイクルを従来の平均7年から9年に延長し、人気モデルの『ロングラン』を目指す方針である。
電気自動車開発に注力し、『ソフトウェアアップデート』で車両価値を維持する戦略である。新車サイクルが長くなれば、短期間に連続して新車種を投入することによる車両価格の下落も防ぎやすくなる見通しである。
ソフトウェアの追加やアップデートで性能を向上させる『ソフトウェア・デファインド・ビークル』(SDV)の普及により、新たな装置を搭載せずとも車両性能を向上させることが可能となる。新機能搭載のために外観を含むフルモデルチェンジを短期間で繰り返してきた従来の自動車ビジネスモデルが変化する可能性を示唆している。
昨年発覚した品質認証不正問題を機に、開発スケジュールと認証体系を見直したことも変化の背景にある。
平均9年の新車サイクルは、『トヨタ』にとっては異例の長さである。主力車種のフルモデルチェンジは過去約5年周期であったが、車両の高性能化が進んだ2000年代以降、徐々に7年周期に移行してきた。
『トヨタ』車は注文が集中し、それに伴う納期遅延や受注停止が頻発している。例えば、SUV『ランドクルーザー』は注文から納車まで数年かかり、車両を受け取る頃には既に次のシリーズが販売されているケースも発生している。
販売サイクルが長くなれば、人気車種の購入機会が増え、車両価値が維持されやすくなり、中古車としても高値で取引される可能性が高まる見通しである。
国内メーカーを見ると、『ホンダ』は6〜7年周期の車種が多く、『日産』は10年近くになるものもある。米国の『テスラ』は3〜5年周期、中国のスタートアップ企業では約1年でモデルチェンジを行うケースもしばしば見受けられる。
『トヨタ』は主力車種を中心にサイクルを延長するが、中国など特定地域向けモデルは現地市場環境に合わせて開発を継続する方針である。
モデルサイクルの変更は、鉄鋼など素材メーカーの開発にも影響を与える可能性が指摘されている。サイクルが長くなれば、素材・部品の新型転換需要が減少する可能性がある。ただし、フルモデルチェンジだけでなくマイナーチェンジの際に新素材を採用する動きが増える可能性もある。
同一モデルの販売サイクルを長期化する戦略に合わせ、『トヨタ』は『ディーラー』への卸売価格設定方式も見直す方針である。従来は発売後時間が経つと段階的に卸売価格を引き下げる傾向にあった。今後は車種と販売状況に応じて価格を柔軟に運用する方針である。
『ディーラー』は卸売価格と実際の販売価格の差(マージン)を主要な収益源とし、その一部を顧客割引に充てている。発売後時間が経つと卸売価格が下がりマージンが拡大するが、売上は鈍化し割引幅が大きくなる構造であった。
『トヨタ』系列の『ディーラー』は全国約230か所あり、大半が独立資本で運営されている。一部の『ディーラー』からは卸売価格の見直しが『ディーラー』の収益を圧迫する可能性があるとの反発の声も上がっている。『トヨタ』は「9年平均で見れば卸売価格は変わらない」と説明している。













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