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「トンボが9億円の車になった」ブガッティ最後のW16、捕食者の翼を纏う

山田雅彦 アクセス  

引用:ブガッティ
引用:ブガッティ

約580万ドル(約9億円)級のハイパーカーと、小さな昆虫であるトンボに共通点を見いだすとすれば、それは極限まで最適化された構造と機能性にある。ブガッティの「W16ミストラル」をベースに製作された特別仕様車「フライバグ」は、自然界における高効率な捕食者であるトンボから着想を得て開発されたモデルだ。単なるデザインモチーフではなく、生物の構造美と空力的合理性を高級車のクラフトマンシップへ落とし込んだ点に特徴がある。

引用:ブガッティ
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トンボは自然界でも極めて高い捕食成功率を持つ昆虫として知られる。独立して動作する4枚の翼、約3万個の個眼を備える複眼、そして高速飛行能力によって、単純追尾ではなく迎撃軌道を計算しながら獲物を捕捉する。この高度な飛行制御と精密な運動性能が、ブガッティ顧客の一人に強い印象を与え、今回のカスタムプロジェクトへと発展した。

引用:ブガッティ
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「フライバグ」は、ブガッティのオーダーメイド部門「シュール・ムジュール(Sur Mesure)」による自然テーマ4部作の最終モデルとして位置付けられる。過去には『ヴェイロン・グランスポーツ・ヴィテッセ』をベースとした「ヘルバグ」、『シロン』の「ヘルビー」、『ディーヴォ』の「レディバグ」が製作されており、昆虫をモチーフとした独自の意匠表現がシリーズ全体に共通している。

引用:ブガッティ
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今回のオーナーは、自動車系ユーチューバーとして知られるジェームズ・ルーカス・コンドン氏、通称「Stradman」だ。同氏は多数のハイパーカーを所有するコレクターとしても知られ、約454万人の登録者を抱える。フライバグは、そのコレクションに加わった最新の特別仕様車となる。

引用:ブガッティ
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ベース車両となるW16ミストラルは、2022年に発表されたロードスターであり、ブガッティ製W16エンジンを搭載する最後の量産モデルでもある。生産台数は99台限定で、価格は約500万ユーロ(約8億6,000万円)からとされる。今回のようなシュール・ムジュール仕様では、専用設計や塗装工程が追加されるため、最終価格はさらに高額になるとみられる。

引用:ブガッティ
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パワートレインには、8.0リッターW16クワッドターボエンジンを搭載する。最高出力は1,600馬力に達し、7速デュアルクラッチトランスミッションと四輪駆動システムを介して駆動力を路面へ伝達する構成だ。最高速度は時速453.91kmを記録しており、市販ロードスターとして世界最高速記録を保持している。

引用:ブガッティ
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外装では、「ドラゴンフライ・ブルー」と呼ばれる専用カラーが採用された。見る角度によってブルーからターコイズへ色味が変化する特殊塗装で、トンボの羽が持つ反射特性を再現している。さらに、ホイールにも同色を適用しているが、金属とカーボンファイバーという異素材間で色調を一致させるには高度な塗装技術が必要だったという。車体側面には楕円形パターンが配置され、後方へ向かうにつれて密度が増す構成により、視覚的な流動感を形成している。

引用:ブガッティ
引用:ブガッティ

インテリアでも同様のデザインテーマが継続される。レザーとアルカンターラ上には立体的なパターン加工が施され、外装との統一感を持たせた。特に、ブガッティの象徴である「マカロン」エンブレムをボディパターン内へ自然に組み込む作業は、設計上もっとも難易度が高かったとされる。また、ギアセレクター内部には「ダンシング・エレファント」の彫刻が配置された。これは創業者エットーレ・ブガッティの兄、レンブラント・ブガッティによる彫刻作品をモチーフとしており、フライバグが単なる高性能車ではなく、工芸品としての性格も備えていることを示している。

山田雅彦
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