
ドナルド・トランプ米大統領が、大統領任期中に憲法を順守すべきか問われ、「わからない」と発言し、波紋を呼んでいる。
問題の発言は、4日(現地時間)に放送された米NBCニュースのインタビュー中、不法滞在者の強制送還について語る中で出たものだ。
トランプ大統領は「不法移民を速やかに送還する権限が必要だ」と主張し、「数百万件の訴訟を法廷で審理するのは現実的ではない。私は彼らを国外に追い出すために選ばれたが、それを裁判所が妨げている」と述べた。
司会者が改めて「憲法を守るつもりか」と問いかけると、トランプ大統領は「わからない」と回答した。その上で「私には優秀な弁護士たちがいる。彼らは最高裁の判決に従うだろう」と付け加えた。
これを受け、米紙ワシントン・ポスト(WP)は「憲法を守り擁護する」と誓った就任宣誓を軽視しているように映ると報じ、議論が広がっている。
トランプ大統領は昨年の大統領選で米史上最大規模の不法移民追放を公約に掲げており、就任後は移民政策を政権の最重要課題として進めてきた。こうした強硬策に対し、たびたび憲法違反との指摘が出ている。
具体的には、トランプ政権は移民局職員に対し、裁判所の関与なく不法移民を送還できる権限を拡大した。この措置により、移民が裁判を受けることなく送還されるケースが相次ぎ、米憲法修正第5条が保障する「適正手続きなしに生命、自由、財産を奪われない権利」に反するとの批判が出ている。
また、親が外国人であっても米国内で生まれれば市民権を得られるとする「出生地主義」の廃止を目指す方針も、米憲法修正第14条に反するとして議論を呼んだ。同条は「米国で生まれ、米国の管轄下にあるすべての者は、米国および居住州の市民である」と規定している。
移民政策に対し、米連邦裁判所が相次いで差し止め判断を下すと、トランプ大統領はこれらの裁判官を名指しし、弾劾を求めて批判する場面もあった。