OpenAIが、iPhoneやMacシリーズを手がけたAppleの元デザイン責任者、ジョニー・アイブ氏のスタートアップ「io(アイオー)」を65億ドル(約9,319億137万円)で買収した。これは昨年から報じられていた「AIに特化した新型デバイス」の共同開発における大きな進展を意味する。OpenAIは今回の買収により、従来のスマートフォンとは根本から異なる新たなデバイス開発に本格的に乗り出す。

21日(現地時間)、OpenAIはサム・アルトマンCEOとジョニー・アイブ氏による共同声明を通じ、アイブ氏が設立したスタートアップ「io」を買収・合併すると発表した。
ブルームバーグ通信やウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、OpenAIはすでに昨年末の時点で「io」の株式23%を取得しており、今回の買収額は65億ドルで同社として過去最大規模だという。
OpenAIは今後、アイブ氏のチームを中心にAI専用デバイスの開発部門を新設し、開発を加速させる方針だ。具体的な製品形態などは明かされていないが、関係者によれば、スマートフォンとはまったく異なる形のデバイスになるという。アルトマンCEOは「スマートフォンの登場でノートパソコンがなくならなかったように、我々の初製品がスマートフォンを消し去ることはないだろう」としながらも、「まったく新しいカテゴリーの製品だ」と説明した。
同日、OpenAIはアルトマン氏とアイブ氏の共同インタビュー映像も公開した。アルトマン氏は「30年前、初めてAppleのMacを使ったときの喜びと驚き、創造性の精神を取り戻したい」と語った。これに対し、アイブ氏は「この30年間で学んだすべてがこの瞬間に繋がっていると強く感じている」とし、「このパートナーシップから新たな製品を生み出していく」と述べた。
アイブ氏はかつてAppleの最高デザイン責任者(CDO)を務め、スティーブ・ジョブズ氏の復帰後に登場したMac、iPod、iPhoneなどの製品デザインを一手に担ってきた。ジョブズ氏の死後もAppleに残っていたが、2019年に退社し、英国で「LoveFrom(ラブフロム)」というデザインスタジオを設立した。
アルトマン氏とアイブ氏の協業については1年以上前から報じられていたが、会社名や組織構成などの詳細は不明だった。今回の発表により、「io」という社名が初めて公式に明らかとなった。先月にはOpenAIがioの完全買収を目指しているとの報道もあり、両者の協力関係がより具体化している様子がうかがえる。