今週公表予定の米国の主要経済指標が、仮想通貨市場に少なからず影響を与えると見込まれている。
特にビットコイン(BTC)は、最近の上昇基調を維持する中、変動性が拡大する可能性が指摘されている。
投資家はマクロ経済指標の変化を注視し、取引戦略を適宜調整する必要があるとの認識を示している。

仮想通貨メディア「ビーインクリプト」などによると、最も注目すべき指標は27日(以下、日本時間)に発表予定の「消費者信頼感指数(Consumer Confidence Index)」だという。
4月の同指数は86.0で、前月比7.9ポイント下落した数値だ。これは2011年10月以来の最低水準だ。1952年の統計開始以降では、過去2番目に低い水準となっている。特に期待指数も54.4まで落ち込み、景気後退の兆候と解釈されている。これは所得や雇用、企業環境に対する短期的見通しが極めて悲観的であることを示している。
市場アナリストのデコード氏は「今回の数値は1982年第2四半期と類似しているが、現状はさらに悪化している」と分析した。ビットコインが史上最高値を記録したにもかかわらず、消費者はリスク資産への投資を控えている。特に32.1%が今後6カ月間で雇用が減少すると予想しており、仮想通貨への投資意欲はさらに冷え込む可能性があると分析した。
2つ目の注目指標は、連邦公開市場委員会(FOMC)の5月会合議事録である。
この議事録は29日に公開される予定で、FRBのインフレ対応戦略や金融政策の方向性に関する手掛かりを提供するだろう。現在、市場では今年の利下げが最大2回にとどまるとの見方が優勢だ。ジェローム・パウエルFRB議長も、通商政策の不確実性やインフレ圧力に言及し、当面は引き締め姿勢を維持する可能性を示唆している。
FOMC議事録でタカ派的な姿勢が再確認された場合、高金利の債券など利回り資産への選好が高まり、ビットコインを含むリスク資産は下押し圧力を受ける可能性がある。CMEフェドウォッチによると、6月会合での金利据え置き確率は94.3%となっている。
3つ目の注目指標は、29日発表の新規失業保険申請件数である。22日時点の申請件数は22万7,000件と、前週比でやや減少した。
労働市場が弱含めば、家計の可処分所得が減少し、仮想通貨への投資余力も縮小せざるを得ない。ただし、現在の数値は急激な悪化とは言えず、緩やかな鈍化傾向と解釈される。仮に予想外の急増があれば、市場は即座に反応する可能性が高いと予想される。
最後に、4月の個人消費支出(PCE)物価指数が31日に発表される。前年比の予想値は2.2%で、3月の2.3%を下回る見通しだ。食品とエネルギーを除いたコアPCEは2.6%で、横ばいと予想されている。3月の月次上昇率は0.1%、個人貯蓄率は3.9%だった。
FRBが最も重視する物価指標であるPCEが予想を下回れば、利下げ期待が再燃し、仮想通貨市場にもプラスの影響を与える可能性がある。逆にインフレ加速が確認されれば、ドル高と相まってビットコイン価格に下押し圧力がかかる恐れがある。
仮想通貨投資家にとっては、今週発表される一連の経済指標によって大きな価格変動が生じる可能性を念頭に置く必要がある。特に5月30日のPCE発表と6月のFOMC会合が近づくにつれ、市場の反応はより敏感になると予想される。