
トランプ米大統領の再選に決定的な役割を果たしたテスラCEOのイーロン・マスク氏が28日(現地時間)、異例にも大統領を批判した。
マスク氏は、トランプ大統領が「大きくて美しい法案」と主張する今回の予算案を痛烈に批判した。
彼は、減税と大規模な国防予算を含み下院を通過したトランプ予算案は、米国の財政健全化に寄与せず、財政引き締めを主導する政府効率部(DOGE)の成果を損なうものだと主張した。
マスク氏はDOGEで指導的役割を担当していた。
シー・エヌ・ビー・シーなど海外メディアによると、マスク氏は来月1日放送の「CBSニュース サンデーモーニング」のインタビューで、トランプ大統領の「大きくて美しい法案」は米国の財政に役立たないと批判した。
世界一の富豪でもあるマスク氏は、この日自身のSNS「X」に投稿した放送映像の一部で、「大規模な財政支出を含む予算案を見て、正直少し失望した」と述べ、「これにより財政赤字が減るどころか増加し、結局DOGEチームの成果を損なうことになる」と語った。
諮問機関であるDOGEは、1月20日の第2期トランプ政権の発足以降、1,700億ドル(約24兆7,402億7,000万円)の税金を節約したとし、時にこれまでとは異なる方法で支出の無駄を削減し、構造改革を実施したと明らかにしていた。
人材コンサルティング会社チャレンジャー・グレイ&クリスマスによると、DOGEは米国の対外援助を管轄するアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)を事実上解体するなど、約27万5,000人の公務員を削減した。
ただし、マスク氏とDOGEのこうした自己評価は誇張されているとの指摘もある。
AP通信によると、DOGEが削減した政府サービスの40%は、実際の米政府支出の削減に全く寄与していないという。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、DOGEは今年2月、自社ウェブサイトから最大の成果5件を削除したとのことだ。
マスク氏のトランプ大統領批判は、両者の関係に亀裂が見え始める中で行われた。
トランプ大統領の中心権力層では、内部サークルでマスク氏への反発が高まり、マスク氏が共和党への政治献金を中止すると宣言するなど意見の相違が表面化する中、トランプ大統領とマスク氏の間にも亀裂が生じているようだ。
マスク氏が意図的に批判したトランプ大統領の「大きくて美しい法案」は、巨額の財政赤字負担を米国民に強いる見通しだ。議会予算局(CBO)によれば、この予算案が施行されれば、今後10年間で米連邦の財政赤字が3兆8,000億ドル(約552兆7,393億3,220万円)増加するとのことだ。
現在36兆2,000億ドル(約5,265兆5,694億2,780万円)に達する米国の国家債務規模が雪だるま式に膨らむという。
マスク氏はCBSに「予算案は大きくなることも、美しくなることもできるが、両方を兼ね備えることはできない」と断言した。
マスク氏が事実上トランプ大統領を批判したことで、テスラの株価はこの日わずかに下落した。取引開始時には前日比1.2%下落し358.64ドル(約5万2,176円)まで下がる場面もあった。午後に入ると下げ幅が縮まり、ほぼ横ばいで推移した。
マスク氏は前日、DOGEの業務を大幅に縮小し、今後はテスラ、スペースX、X、AIスタートアップのxAIなど、企業経営に専念すると明らかにした。
一方、下院を通過したトランプ予算案は、上院での可決にはかなりの難航が予想されている。