
テスラの機関投資家グループがイーロン・マスクCEOに対し、最低週40時間をテスラ業務に充てるよう求める書簡を送った。低迷する販売実績と株価の不安定さを受け、CEOの関与不足が事態を深刻化させているとの認識からである。
「危機の本質はCEOの不在」
28日(現地時間)、CNNとフィナンシャル・タイムズ(FT)は、投資家グループがロビン・デンホルム取締役会議長宛に送付した書簡の内容を報じた。書簡では、「現在の危機はCEO不在が生んだ構造的問題の表れ」とし、マスクの職務専念を明確に要求している。
また取締役会に対しても、「マスクに対し専念を求める姿勢が見られず、株主全体の利益を代表していない」と厳しく批判した。
このグループには、ニューヨーク市監査官、米教職員組合(AFT)、デンマークの年金基金アカデミカー年金など12の長期投資家が含まれる。保有株は計790万株、発行済株式の約0.25%に相当する。
後継計画と独立取締役の任命も要求
書簡ではこのほかにも、CEOの後継者計画の明示や、取締役会と私的関係を持たない独立取締役の追加任命を求めている。
テスラはこの要請に対し、現時点で公式な見解を示していない。
「顔」だが、同時に多くを抱えすぎるマスク
マスクは2008年からテスラのCEOを務めており、企業の象徴的存在とされてきた。だが現在はテスラのほかにも、SpaceX、X(旧Twitter)、xAI、Neuralinkといった複数の企業を率いている。
さらに、トランプ政権下では連邦政府の効率化プロジェクト「DOGE」にも関与した。
その結果、テスラは販売減少、利益低下、株価の乱高下といった不安定な状況に直面。マスクの政治的発言がブランドイメージに悪影響を及ぼしたとの指摘もある。
「テスラに時間を割く」も、投資家の視線は厳格
マスクは最近になって政治的活動を控え、テスラに注力する意向を示している。だが機関投資家らの要求は、その「姿勢」だけでは不十分との判断を反映している。