米国際貿易裁判所はドナルド・トランプ大統領が導入した関税措置について、憲法違反との判断を下した。これを受けて市場は即座に反応を示した。
今回の判決は、トランプ政権が経済危機下で国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、全世界に一括して課した関税が、大統領の権限を逸脱したとの結論だ。
裁判所は、国家安全保障や緊急事態を理由としても、大統領には議会の承認なしに全ての国に一律で関税を課す権限はないと断言した。
この判決後、市場は強く反発した。S&P 500先物は100ポイント急騰し、欧州主要指数のストックス欧州50(EU Stoxx 50)、FTSE 100、ドイツDAX指数も軒並み上昇した。アップル(Apple)株は時間外取引で3.5%上昇した。

暗号資産関連メディア「コインゲイプ」などによると、仮想通貨市場のベテランとして知られるビットメックス元CEO、アーサー・ヘイズ氏は、今回の判決を「全て買うべきタイミング」とし、強力な買いシグナルだと語った。
ヘイズ氏は今回が二度目の買い機会だとし、市場の強い反発を予測する発言をした。
米10年国債利回りは4.50%を超えて上昇基調を維持した。債券市場の動向は、依然としてインフレと金利上昇圧力が存在することを示唆している。
金融市場分析プラットフォーム「ザ・コベイシ・レター(The Kobeissi Letter)」は、「この国債利回りの上昇は、固定収益資産全般に圧力をかけている」と分析した。
今回の判決は単なる政策変更にとどまらず、4月2日以降に課された関税の全額返還の可能性まで言及されている。
米国の輸入規模を基準に換算すると、返還対象額は約100億ドル(約1兆4,411億132万円)に達すると推定され、そのうち中国が約35億ドル(約5,043億8,546万1,751円)を返還される可能性が高いと、ザ・コベイシ・レターは伝えた。
これは米中貿易戦争の新たな局面を示唆している。
欧州連合(EU)は、米国との貿易交渉で50%に及ぶ報復関税を回避するため、即座に交渉に入っており、今回の判決により交渉条件で優位に立てる可能性があるとの見方もある。
ただし、トランプ政権はすでに判決に対して控訴する方針を示しており、関税を巡る法的争いは長期化する可能性があるとみられる。
一方、先週末にトランプ大統領が欧州連合に対する関税を50%以上に引き上げたため、ビットコイン価格は4%下落した。今回の判決後もビットコインは0.76%下落し、10万7,857ドル(約1,554万1,666円)で取引されている。
先月、経済学者ピーター・シフ氏(Peter Schiff)は、トランプ大統領の関税措置を違法だと批判した。彼は「課税権は議会にあり、下院から始まるべきだ」と主張した。