
ウクライナがいわゆる「スパイダーウェブ作戦」で攻撃した戦略爆撃機などのロシア軍用機は41機ではなく、実際には約20機だったとロイターが米当局者の話として4日(現地時間)に報じた。
ロイターが接触した米当局者2人は、ウクライナのドローン攻撃がロシア軍用機最大20機を攻撃し、そのうち約10機が破壊されたとみられると評価した。
これはウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が言及した数(41機)の約半分に相当する。
しかし、2人の当局者は被害規模に関わらず、ウクライナの今回の攻撃を極めて重要な成果と評価し、そのうちの1人はこの攻撃がロシアの交渉上の立場を大きく弱める可能性があると予測した。
今回の攻撃は、数か月間ロシアの攻勢にさらされてきたウクライナ軍の士気を大いに高めたとロイターは伝えた。
前線から最大4,300km離れた奥地で戦略資産を奇襲攻撃できる能力を証明したためだ。ドローンをロシア領内に密かに侵入させて近接発射し、一部のドローンに人工知能(AI)を活用し、低コストの非対称戦力の効果を示した。
米空軍のデイビッド・W・オルビン参謀総長は2日、ワシントンで開催されたAIカンファレンスで関連質問に対し、「もはや敵の攻撃から安全な避難所という概念が消えつつあることを示している」と述べた。
2日、ウクライナ国家保安庁(SBU)は、「スパイダーウェブ」と名付けられたこの作戦を通じてロシア本土の4つの空軍基地を標的にドローン117機を使用し、ロシア軍に70億ドル(約1兆円)の被害を与えたと発表した。
マクサー・テクノロジーズやプラネット・ラボなどが提供した商業衛星写真の分析結果、損傷が確認されたロシアの戦闘機はTu-95中型爆撃機とTu-22バックファイア超音速長距離戦略爆撃機であることが判明した。これらはロシアがウクライナにミサイル攻撃を行う際に使用した機種だ。
ベラヤ空軍基地とオレニャ空軍基地の衛星写真では、破壊された航空機とその残骸、焦げた跡などが観測された。
BBCは、オレニャで航空機5機、ベラヤで航空機7機が損傷または破壊されたと伝え、特にベラヤではTu-95が3機、Tu-22が4機損傷したと報じた。
Tu-95とTu-22は1990年代初頭のソ連崩壊以降、生産が中止されており、修理や交換が困難だとされている。このほか、A-50早期警戒管制機も被害を受けた可能性が指摘されている。
ロシアでは今回の事態に対する責任論が浮上した。影響力のあるロシアの軍事評論家たちは、核兵器搭載可能な爆撃機が標的となった点を挙げ、ロシア航空宇宙軍の怠慢と油断を非難した。
米国をはじめとする国際社会は報復攻撃に伴う戦争拡大の可能性を注視している。米国のウクライナ特使、キース・ケロッグ氏はフォックスニュースのインタビューで「ウクライナがロシアの核3本柱(地上・空中・海上核戦力)のうち空中戦力を攻撃したため、戦争拡大のリスクが非常に高まった」と警告した。
ケロッグ氏は、国家安全保障の領域において相手国の生存システムの一部である核3本柱を攻撃すれば、相手の反応が予測不可能となるため、危険度が高まると説明した。