
ウクライナによるドローン奇襲攻撃を受けたロシアが、報復の選択肢を巡って揺れている。
米CNNが4日(現地時間)に報じたところによれば、1日に行われた攻撃以降、ロシア国内の親政府系評論家や軍事系ブロガーの間では、ウクライナへの核攻撃の必要性を訴える過激な声が高まっている。
Telegramの人気チャンネル「Two Majors」は「今回の攻撃は核使用の口実ではなく、核を行使すべき正当な理由だ」と主張。「キノコ雲が立ち上ったその時、人々は誰が嘘をつき、何を誤ったのかをようやく理解するだろう」と書き込んだ。
軍事ブロガーのアレクサンダー・コット氏も「結果がどうなろうと、全力で反撃すべきだ」と強硬な姿勢を示している。
ロシアの強硬派による核使用の言及は珍しくないが、昨年11月にロシアが核ドクトリンを改定し、「重大な脅威」に対する通常兵器の攻撃に対しても核兵器使用が可能となったことで、発言の現実味を危惧する声もある。
ロシア国営テレビの司会者ウラジーミル・ソロビヨフ氏は、今回のドローン攻撃について「核攻撃の正当性を裏付けるものだ」と主張し、キーウにあるウクライナ大統領府への攻撃を求めた。
とはいえ、こうした過激な主張が実際に政策決定に反映される可能性は極めて低いとの見方が大勢を占めている。核兵器の使用は、中国やインドといった主要な経済・軍事パートナーとの関係を損ないかねず、各国の軍事的対応を招くリスクもあるためだ。
それでも、安価なドローンで不意を突かれたロシアが何の反応も見せずに終わることは考えにくい。
プーチン大統領の側近である国家安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長は前日、Telegramで「報復は不可避だ」と述べ、強硬な対応を求めた。
ウクライナはドローン攻撃からわずか2日後、ロシア本土とクリミア半島を結ぶ橋に対して爆発攻撃を行うなど、攻勢の手を緩めていない。
CNNは、クレムリンがこうした状況を受けて、戦争の主導権を再び握るよう国内からの圧力を受けている可能性があると指摘する。
一方、ロシアの野党政治家ウラジーミル・ミロフ氏はCNNに対し「ロシアには大規模な軍事作戦を行う能力がなく、選択肢が限られている。人的資源も不足している」と指摘。「核兵器の使用について語られてはいるが、現実には検討の対象にすらなっていない」と述べた。