
政府と与党・自民党内で、訪日外国人に対する免税の廃止や、出国時の国際観光旅客税(出国税)引き上げなど、外国人への税負担を求める案が浮上している。
日本経済新聞の9日の報道によると、7月の参議院選挙を前に家計負担軽減を巡る競争が政界で繰り広げられる中、政府と自民党は訪日外国人への課税案を検討しているという。これは有権者である日本国民の負担増を避けつつ財源を確保する策とされる。
最も注目されているのは、外国居住者が日本で購入した商品への消費税課税、つまり現行の免税制度の廃止だ。この案は、近年の訪日外国人増加に伴うオーバーツーリズム対策としても検討されている。
麻生太郎自民党副総裁は先月末、研究会で免税制度の廃止を求める提言案をまとめた。同案は、訪日外国人による家電や医薬品の大量購入を「我々が目指す観光立国の姿とは異なる」とし、「地方経済の活性化や雇用機会の増進に寄与しているとは言い難い」と指摘した。特に、こうした大量購入が国内での転売につながるケースが多いことも問題視されている。
出国税の税額引き上げ案も検討されている。自民党内では、日本の出国税が他国の類似制度と比べて低額だとの指摘がある。現在、日本の出国税は一人当たり1,000円だが、米国は22.2ドル(約3,198円)、エジプトは25ドル(約3,601円)、オーストラリアは70豪ドル(約6,583円)となっている。
しかし、慎重論も根強い。外国人の訪日意欲を削ぐ恐れがあるためだ。実際、英国がEU離脱後の2020年に外国人観光客向けの付加価値税免税措置を廃止したところ、高級ブランド店などの売上が落ち込んだとの分析もある。日本政府が2030年の訪日外国人目標を2024年比70%増の6,000万人に設定している中、こうした措置が観光産業を萎縮させかねないとの懸念が出ている。