
米国のドナルド・トランプ大統領は13日(現地時間)、イスラエルがイランに対して行った大規模空爆について「素晴らしい判断だった」と支持を表明した。攻撃は米・イランの核協議再開を2日後に控えたタイミングで行われた。
「我々は機会を与えたが、彼らは応じなかった」
米ABC放送によると、トランプ氏は同日朝、同局記者との電話インタビューで「我々はイランにチャンスを与えたが、彼らはそれを無視した。彼らは非常に強い打撃を受けた」と発言。「そして今後は、さらに多くのことが起こる。もっと激しいことが」と語った。
自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」でも、同様の見解を投稿。「すでに甚大な死と破壊が起きたが、虐殺を止める時間はまだ残されている」としたうえで、「次に計画されている攻撃は、これ以上に過酷になる」と強く警告した。
さらに「イランは何も残らなくなる前に必ず合意すべきだ。かつての“イラン帝国”を守らなければならない」とも投稿している。
「60日間の猶予は過ぎた」 トランプ氏、イランに通告済みと主張
トランプ大統領はその後の投稿で、2か月前にイランに対して核合意に関する「60日の期限」を提示していたことを明かし、「今日はその61日目だ。彼らに次に何が起きるか伝えていたが、結局、応じなかった」と述べた。
米・イランの第6次核交渉は、15日にオマーン・マスカットでの再開が予定されていたが、今回の空爆により情勢は一変。イランはイスラエルによる攻撃を「戦争行為」と非難しており、協議継続は極めて不透明な状況だ。
米政権はイランに対し、核弾頭の原料となるウランの自国濃縮を全面的に放棄するよう求めてきたが、イラン側はこれを拒否し、新たな濃縮施設の建設を進める構えを崩していない。
中東リスクの高まりで原油・金急騰、市場は「予想通りの反応」
イスラエルの空爆を受け、原油の供給リスクが高まるとの懸念から国際市場は大きく反応した。
米東部時間午前9時33分時点で、7月渡しのWTI原油は前日比7.66%高の1バレル=73.25ドル、国際指標である8月渡しのブレント原油は7.17%高の1バレル=74.33ドルを記録。ともに急騰している。
伝統的な安全資産とされる金も1%超の上昇を見せており、市場ではリスク回避の動きが加速している。
金融情報会社「バイタル・ノリッジ」のアダム・クリサプリ氏は「原油は上昇、株式は下落という予測通りの動きが出ている」と分析したうえで、「ただし、イランの軍事力の限界やOPEC+による増産体制が過剰反応をある程度抑制している」と指摘した。