米国際開発庁(USAID)の大規模な予算削減により、2030年までに1,400万人が追加で死亡し、マラリアや呼吸器感染症など各種疾病撲滅の成果が後退する可能性があるとの研究結果が発表された。
30日(現地時間)のフィナンシャル・タイムズ(FT)によると、英医学専門誌『ランセット』に掲載された論文は、USAIDの予算削減シナリオに基づき、2025年から2030年まで毎年178万人から250万人の死亡者数が増加すると予測しているという。
論文共著者で、バルセロナ国際保健研究所のダヴィデ・ラセッラ教授は「この構造的な予算削減は、数十年来の世界保健における最も重大な後退の一つとなり得る」と分析した。さらに「これにより数百万件の予防可能な死亡が発生し、特に脆弱層に影響を与え、保健および社会経済発展を阻害するリスクがある」と述べた。

論文によると、2001年から2021年までの間にUSAID支援プログラムにより約9,180万人の死亡が防がれた。このうち、HIV・エイズによる死亡者は約3分の2減少し、2,550万人の命が救われた。マラリア、下痢症、顧みられない熱帯病、下気道感染症による3,100万件の死亡も防いだ。
マルコ・ルビオ米国務長官は昨年3月、USAIDプログラムの83%が取り消され、残りは米国務省が運営すると明らかにした。2023年のUSAID予算は約424億ドル(約6兆863億円)だった。予算削減規模は不透明だが、一部の削減措置を巡っては法廷闘争が続いている。
米厚生長官のロバート・ケネディ・ジュニア氏は先週、米国がUSAIDを通じて支援してきた「Gaviワクチンアライアンス」(発展途上国へのワクチン普及を進める国際組織)への資金提供を停止すると発表した。米国は昨年約3億ドル(約430億6,338円)を拠出していた。
英サウサンプトン大学でグローバルヘルス分野の上級研究員を務めるマイケル・ヘッド氏は「米国の新たな国際協力アプローチは実際に人命を脅かしている」とし、「世界の保健資金は改革が必要だという点に異論はないが、大規模な資金を突然引き揚げる方法は望ましくない」と主張した。
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