
米国が過去にウクライナへ供与を約束していた防空ミサイルや精密誘導弾などの兵器支援を、先月すでに停止していたことが明らかになった。この決定は、中国への抑止とイスラエルへの支援を優先した結果だという。
1日(現地時間)、米政治メディア「ポリティコ」が報じたところによると、米国防総省は先月初め、エルブリッジ・コルビー国防次官の主導で、ウクライナに送る予定だった防空ミサイルや精密誘導弾の出荷を中止した。こうした措置は、ロシアが先月29日にドローン約470機とミサイル約60発を用いた大規模な空爆を行った際に明らかとなった。
コルビー次官は、ドナルド・トランプ政権下で米国の国防戦略立案に関わった中核人物で、「ウクライナ支援よりも対中抑止を優先すべき」との立場をとっている。関係者によれば、国防総省は内部調査の結果、砲弾、防空ミサイル、精密誘導弾などの備蓄が危険水準にまで減少していると判断し、出荷を停止したという。
これまで米国は、国防総省主導の基金プログラム「ウクライナ安全保障支援イニシアティブ(USAI)」を通じて、米防衛企業から武器を調達し、ウクライナに提供してきた。また別枠で予算を確保し、米軍が保有する武器の一部も提供していたという。しかし後者に関しては、トランプ政権が今年の備蓄補充のための追加予算を議会に要請しておらず、これがイスラエルへの軍事支援と重なり、備蓄の急速な枯渇を招いたとされる。
トランプ政権の関係者は現状について、「バイデン政権時代に確保された予算で今後数か月はウクライナ支援が可能だが、トランプ政権としてはウクライナに対して新たな支援は行っていない」と述べている。
注目の記事