全国で野生のクマによる被害が深刻化している。民家周辺への出没が相次ぎ、人的被害も後を絶たないなか、AIをクマ撃退に活用する取り組みが始まった。

時事通信は1日、岐阜県飛騨市で、カメラが24時間体制で撮影する動物の映像をAIが解析してクマかどうかを判断し、撃退スプレーを自動で噴射する実証実験が始まったと報じた。
AI遠隔監視システム「アイベス(AIBeS)」を開発した企業の関係者は「関係機関から離れた地域や深夜の時間帯にクマが出没した場合、関係当局が迅速に対応するのは難しい。しかし、AIや機械による対応であれば、その制約を受けない」と強調している。
アイベスは、肉眼での識別が難しい夜間でも前方およそ15メートル先のクマを判別でき、太陽光発電で稼働するのが特徴だ。クマによる被害が懸念される果樹園などに設置することで、被害を最小限に抑える効果が期待されている。
このほか、北海道奈井江町の機械部品加工会社「太田精器」がシカなどによる野生動物被害を防ぐために開発した「モンスターウルフ」も、クマの出没を背景に需要が急増しているという。
モンスターウルフは、赤外線センサーで動物の接近を感知すると作動する。工事現場並みの騒音を50種類ほどランダムに発し、目の部分に設置された高性能LED(発光ダイオード)ライトを強く点滅させて、クマを威嚇する仕組みだ。
今年に入り、同製品の受注は例年の3倍以上に増えているという。

政府がまとめた2025会計年度(2025年4月〜2026年3月)の年間クマ出没件数は5万776件にのぼり、過去最多を更新している。これは、これまで最多だった2023年度の2万4,348件と比較して2倍以上にあたる。
地域別で見ると、秋田県が1万3,592件と最も多く、岩手県9,739件、宮城県3,559件と続いた。このうち捕獲されたクマは1万4,720頭で、前年度のおよそ3倍にあたる。
環境省は先月、昨年度にクマの襲撃を受けて死亡した人は13人、負傷者を含む被害者は238人に達し、いずれも過去最多だったと発表した。
先月19日には東京都奥多摩町の山中で上半身のない遺体が発見され、クマに襲われた可能性も指摘されており、対策の強化が急務となっている。














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