
「首相である以上、いつかは次の人へ引き継ぐ日が来ることは誰もが分かっている。その日が私にも訪れた。これで私の政治人生は終わる」
15日に英国下院で開かれた最後の党首討論で、キア・スターマー英首相はこう語った。スターマー首相は2024年7月の総選挙で労働党を圧勝に導き、政権交代を実現した。しかし、経済低迷などを背景に支持率が下落し、地方選での大敗を受けて党内からの辞任圧力が強まったことから先月22日に辞任を表明した。
党首討論は毎週水曜日に開かれ、与野党の党首らが首相に国政について質問し、論戦を交わす英国議会の恒例行事だ。通常は激しい応酬が繰り広げられるが、この日はスターマー首相の妻と2人の子どもも傍聴する中、約50分にわたり終始和やかな雰囲気で進行された。
後任への助言を求められると、スターマー首相は「助言するつもりはない。ただ全面的に支えるだけだ」と述べた。また「私たちが成し遂げたことを誇りに思う」とした上で「私のために火の中へ飛び込む覚悟で支えてくれた仲間たちに感謝したい」と語った。側近の中には涙を流す姿も見られた。
普段は厳しい質問を浴びせる保守党のケミ・ベーデノック党首も、この日はユーモアを交えて質問した。英国改革党のナイジェル・ファラージ党首が補欠選挙で政治風刺候補の政治風刺キャラクター「ビンフェイス伯爵」と対決することに触れ「国民はファラージ氏とビンフェイス伯爵のテレビ討論を見なければならないのか」と問い掛けた。
これに対してスターマー首相は「皆さんへの私の助言は、投票用紙を『ビン(ごみ箱)』に入れることだ」と応じ、会場は笑いに包まれた。
FIFAワールドカップ期間中ということもあり、サッカーに関連する冗談も飛び出した。保守党のグラハム・スチュアート議員は「スターマー首相は労働党のジュード・ベリンガムであり、チームを勝利へ導いた。しかし、400人の怪しい審判からレッドカードを突き付けられた」と語った。イングランド代表の主力選手ジュード・ベリンガムになぞらえてスターマー首相を称え、辞任を迫った労働党議員らを審判に例えた発言だった。
スターマー首相の後任には、労働党のアンディ・バーナム下院議員が就任する見通しだ。党首選に唯一立候補したバーナム氏は17日の党大会で党首に選出された後、20日に首相へ就任するとみられている。
イングランド北西部グレーター・マンチェスターの市長を9年間務め「北部の王」とも呼ばれるバーナム氏は、首相官邸の機能の一部をロンドンから北部へ移転させる方針を打ち出している。















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