
米トランプ政権は、中国を含む敵対国の国民による米国農地の取得を制限する動きを強めている。8日付『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』などによれば、米農務省は7項目からなる国家安全保障計画を発表し、議会や州政府と連携して、これらの国による農地購入を禁止する方針を示した。さらに、外国人による農地所有の実態をより詳細に公開し、虚偽申告に対する罰則も強化する構えだ。
ブルック・ロリンズ農務長官は同日の記者会見で「米国農業は、犯罪者や政治的な敵対国、そして我々の生活様式を根本から脅かす政権から深刻な脅威を受けている」と発言。すでに取得された農地についても、回収を検討していることを明らかにした。
実際、米国ではここ数年、中国人による農地所有に対する懸念が高まっている。2023年時点で外国人が保有する農地と森林面積は約18万2,100平方キロメートルに達し、全体の3.5%を占める。10年前と比べて70%以上の増加となっており、最も多いのはカナダ人による所有(約6,200平方キロメートル)だが、中国人も約1,100平方キロメートルを保有している。
2023年には、中国企業がノースダコタ州の軍事基地に近いトウモロコシ加工工場用地を取得しようとした件で、上院が91対7という圧倒的多数で購入を阻止。また、バイデン政権は昨年、安全保障上重要な地域周辺での外国企業による土地取得を大きく制限する新たな規制案を提示した。
現在、米国内では26の州が外国人による農業用地の取得や投資を禁止または制限しているが、連邦レベルでの包括的な禁止措置は存在しない。ただし、外国人所有者には資産の申告義務が課されている。これに対し、在米中国大使館の関係者は『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』に対し「中国企業の農業投資は米国に雇用と経済成長をもたらしてきた」と述べ、中国の投資への批判は国際的信頼を損ねると強く反発している。
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