
イギリスで、かつて世間を騒がせた有名犯罪者と同じ名前を新生児に付けるケースが増加している。背景には、Netflixなどの大衆メディアを通じた「犯罪エンタメ」の浸透があると専門家は指摘している。
英紙『ザ・ミラー』などによると、英育児専門サイト「ベイビーセンターUK」が発表した2025年の人気ネーム・トップ100には、「アーサー」「ロジー」「フレディ」「テディ」といった名前が含まれていた。
これらは一見ごく一般的で親しみやすい名前だが、実はそれぞれ過去に凶悪事件を起こした人物と重なる。
「アーサー」は、1960年代後半に米カリフォルニア州で暗躍した連続殺人犯「ゾディアック・キラー」の有力容疑者、アーサー・リー・アレンと同名。被害者数は5人とされるが、本人は少なくとも37人を殺害したと主張していた。事件はNetflixのドキュメンタリー『ゾディアック』で世界的に知られるようになった。
「ロジー」と「フレディ」は、1970〜80年代にかけて女性10人を拷問・殺害した英国の連続殺人夫婦フレッド&ロジー・ウェストから来ている。こちらもNetflix『フレッドとロジー・ウェスト:ブリティッシュ・ホラー・ストーリー』で再注目された。
さらに「テディ」は、1970年代に30人以上を殺害したとされる米の連続殺人犯テッド・バンディに由来。Netflixの『殺人を語る:テッド・バンディ・テープ』を通じて再び注目を集めた。
これらの名前が実際に人気ランキング上位に並ぶことについて、ベイビーセンターUKの命名専門家サラ・ジェーン・ストラム氏は、「親たちは意図的に犯罪者にちなんで命名しているわけではない。テレビ番組やポッドキャストを通じて無意識のうちに影響を受けている」と分析。
「文化が言語を形成し、命名にも影響を与える。非常に象徴的な現象だ」と述べた。
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