
イスラエル政府が、国連のガザ地区人道支援を担当する高官のビザの更新を拒否したことが明らかになった。
ガザでの食料支援の過程で多数の死傷者が発生し、国際社会からの非難が高まる中、イスラエルと国連機関との対立も一層深まっている。
21日付の『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』によると、イスラエルは、ガザ地区およびヨルダン川西岸での人道支援活動を統括する国際連合人道問題調整事務所(OCHA)の責任者代行、ジョナサン・ウィタル氏のビザの延長を拒否したという。
イスラエルのギドン・サール外相は20日、ウィタル氏が今後ガザ地区で活動できなくなると明かし、当高官がイスラエルに対して偏った敵対的な行動を取ったことが決定の理由だと述べた。
ウィタル氏の前任者であるアンドレア・デ・ドメニコ氏も同様に、イスラエル政府によりビザの延長が拒否され、同国を離れている。
OCHAによれば、イスラエル当局はウィタル氏に対し、ビザは8月以降延長されないと通告したという。
今回の措置について、OCHAは「ガザの救援物資配給所で食料を求めていた住民が死亡した」とのウィタル氏の発言の後に下されたものだと主張している。
OCHAは、「現地の状況を伝えることはOCHAの中核的任務だ」とし、「我々を沈黙させようとする試みは目新しいことではないが、支援が必要な民間人へのアクセスがますます脅かされている」と訴えた。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は21日、ガザにおける人道状況の急激な悪化に深い衝撃を受けていると述べ、家族のために食料を求めていた人々が銃撃を受け、殺害され、負傷するなどの暴力が続いていると警告した。
ガザ人道財団(GHF)が実施するガザ地区での支援活動をめぐり、ウィタル氏は先月、「私たちが目にしているのは大量虐殺だ」と述べ、「ただ生き延びようとしている人々にとって、これは死刑宣告に等しい」と厳しく非難した。
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