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2025年07月31日木曜日
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【反政府デモ勃発】反ロシアの英雄から「裏切り者」へ?元兵士らがゼレンスキーに不信感噴出!

引用:AFP通信
引用:AFP通信

約3年半にわたりロシアの侵攻を受けているウクライナで、開戦以来初めて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を非難する大規模な反政府デモが発生した。デモの参加者は、政府による最近の汚職捜査の弾圧を指摘し、ゼレンスキー大統領が約10年前の親ロシア汚職政権と同様の行動をとっていると主張している。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)など海外メディアによると、22日(現地時間)、首都キーウのイヴァン・フランコ記念劇場付近に、2,000~3,000人規模の反政府デモ隊が集結したという。ゼレンスキー政権は、ロシアが2022年2月に侵攻して以来、戒厳令を発令し、国内の政治活動や集会を禁止していた。

NYTはこの日のデモを、戦後初の大規模な反政府デモとして評価している。デモは平和的に進行し、警察の姿はほとんど見られなかった。この日、ウクライナでは首都キーウだけでなく、西部のリヴィウや南部のオデーサなど全国各地で同様の抗議活動が行われた。

集まったデモ隊は、ゼレンスキー大統領が政府の監視機関を弱体化させ、民主主義を脅かしていると非難した。ウクライナの汚職対策機関である国家汚職対策局(NABU)は、先月、ウクライナのオレクシー・チェルニショフ前副首相を対象にした汚職捜査に着手しており、チェルニショフ氏の辞任後は、主要な国会議員や大統領府関係者に対しても汚職捜査を進めていると伝えられている。同局は2014年に設立され、起訴権は持たないものの、政府に対する重要な汚職対策機能を果たしてきた。

ウクライナ検察とウクライナ保安庁(SBU)は今月21日、NABU関連の建物を集中的に捜索し、NABU職員1名をロシアのスパイ容疑で逮捕した。SBUは、NABUに加え、汚職事件の起訴を担当する特別汚職対策検察(SAPO)も捜索対象とした。SAPOは、NABUを支援するため2015年に設立された機関だ。

なお、SBUはNABUおよびSAPOの責任者が外国に滞在中であったのを受け、裁判所の令状なしに捜索を実施した。今月初め、ウクライナ国家捜査局(SBI)は、著名な反汚職活動家ヴィタリー・シャブーニン氏を捜査し、彼の携帯電話やPCなどを押収している。シャブーニン氏は17日の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、「ゼレンスキー大統領は、自身にとって脅威となるジャーナリスト、活動家、軍人に対する警告として、私の件を利用している」と述べた。

ゼレンスキー政権による反汚職機関への圧力は、22日にピークに達した。同日夕方、ゼレンスキー大統領は、NABUおよびSAPOに対するウクライナ検察の管理権限を拡大する法案に署名した。同日午後に国会を通過した新法によると、検事総長がNABUの捜査を指揮したり、他の機関に捜査の指示を出したりできるようになるとともに、SAPOの権限を他の検察官へ委譲すること、さらに弁護人の要請があればNABUの捜査を終了させることが可能になるという。

ゼレンスキー大統領はこの法律について「うまく機能するだろう」と述べ、「ロシアの影響力は排除され、正義が徹底されなければならない」と強調した。また「もちろん、NABUとSAPOは引き続きその任務を果たす」と付け加えた。

引用:ロイター通信
引用:ロイター通信

ウクライナのキーウ・インディペンデントは、22日の社説で「ゼレンスキー大統領は、皆が守ろうと戦ってきた民主主義を裏切った」と厳しく非難した。ウクライナ国民は、2014年の「ユーロマイダン」革命を通じて、汚職にまみれたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前政権を追放し、親ロシア路線からの転換を果たした。

NABUは、22日に施行された新法に対し、「この法律はNABUとSAPOの独立性を毀損し、実質的に検事総長の支配下に置く結果となる」と警告している。同様に、キーウ・ポストも今回の法改正が反汚職機関の機能不全を招くとの懸念を表明した。

NYTによれば、退役軍人でインフルエンサーでもあるドミトロ・コジアティンスキー氏は、22日にSNSで「時間がない。今夜、街に出てゼレンスキー大統領がヤヌコーヴィチ時代に逆戻りするのを阻止しよう。今夜会おう!」と呼びかけた。

また、この日のデモに参加したサシュコ・アダムリュク氏(25)は、ウクライナが単に領土のために戦っているのではないとし、「我々の民主主義そのものが攻撃されている」と述べた。戦闘で両脚を失った元兵士オレクサンドル・テレン(29)は、政府の措置が、戦争に全てを捧げた人々への侮辱であるとし、「我々は透明性のある政府のために戦っている。この決定は、欧州志向のウクライナのために戦う兵士たちの士気を著しく損なう」と語った。

ゼレンスキー政権を支持する欧州連合(EU)など西側諸国は、今回の事態を注視している。欧州委員会のマルタ・コスEU拡大担当委員は、22日に施行された法案に対し「深刻な懸念」を表明した。さらに、ウクライナ駐在の主要7か国(G7)大使らは、21日にSNSの「X(旧Twitter)」に投稿した声明で「NABUの現状を注視しており、政府指導部と状況について協議する用意がある」と述べている。

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