
ウクライナ軍が深夜に敢行した大胆な作戦により、黒海地域のロシア空軍基地に甚大な被害が発生した。ウクライナ保安庁(SBU)は4日(現地時間)、テレグラムで「昨夜、ウクライナ軍アルファ部隊が運用するドローン(無人機)が、クリミア半島のロシア・サキ空軍基地(サーキ飛行場 )を攻撃した。この攻撃でロシアは少なくとも5機の戦闘機を失った」と主張した。
サキ空軍基地には、「Su-24」爆撃機をはじめ、各種戦術機、海上哨戒機、攻撃機などが配備されていた。今回のウクライナ軍のドローン攻撃により、少なくともSu-24戦闘機3機が被弾されたという。特に、最大の被害を受けたのは「Su-30SM」多用途戦闘機とされている。
ウクライナ軍事誌「ディフェンス・エクスプレス」は「今回の攻撃でSu-30SMが1機完全に破壊され、もう1機が損傷を受けた」とし、「Su-30SMの1機あたりの価格は最大5,000万ドル(約73億6,722万円)に達する」と説明した。さらに「Su-30SM2機だけでなく、Su-24航空機3機も被弾し、ロシア空軍の作戦に重大な支障をきたした。これは莫大な物的損失につながる」と付け加えた。

Su-30SMは、最新の多用途任務化した多用途戦闘機であり、Su-27を基に性能と多機能性を大幅に強化した双発2人乗り戦闘機だ。最大8トンの武器が搭載可能で、R-77、R-27(中・長距離空対空)、R-73(近接戦用)のほか、各種空対地・空対艦兵器、巡航ミサイル、精密誘導爆弾なども搭載できる。Su-30SMは、制空戦、爆撃、近接航空支援、戦略的侵入など、まさに「スーパー・マルチロール機」として活用されるロシア空軍の主力機である。
今回の報道内容が事実であれば、ロシアは一晩のドローン攻撃により、1機あたり1,000万ドル(約14億7,344万円)相当のSu-24戦闘機を少なくとも3機、1機あたり5,000万ドルのSu-30SMを2機、計約1,800億ウォン(約190億8,093万円)相当の被害を被ったことになる。

ウクライナ軍は今回の攻撃で、空軍基地に駐機していた戦闘機のみならず、戦闘機用の弾薬を保管する弾薬庫も攻撃した。ディフェンス・エクスプレスは「サキ空軍基地の破壊は、この地域でのロシア空軍作戦に影響を与え、ウクライナ南部および黒海周辺地域での空襲能力や領空防衛能力を低下させるだろう」と分析した。
ロシアが占領・運用中のサキ空軍基地は、黒海北部の海上、南ウクライナ、南東欧州地域までを作戦範囲に含み、ロシアの黒海艦隊の運用および地域の制空権の確保に不可欠な拠点である。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来、サキ空軍基地は後方基地として、航空部隊の整備・補給・給油・再出撃など、補給拠点として重要な役割を果たしてきた。これに対し、ウクライナはミサイルやドローンなどによる度重なる攻撃で、ロシア軍用機の破壊や戦略資産への打撃など主要作戦を展開し成果を上げてきた。
今回の作戦も、ロシアが一時的に占領したクリミア半島における攻勢作戦遂行能力を弱体化させるための広範な作戦の一環であった。ディフェンス・エクスプレスは「今回の攻撃成功は、ウクライナの情報機関が敵(ロシア)の領土深部まで精密に攻撃できる能力を拡大していることの証左だ」と評価している。
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