ドナルド・トランプ米大統領が「友人」と称していたインドのナレンドラ・モディ首相に対し、突如として関税引き上げを示唆し、インド側も強硬に反発した。両国関係に亀裂が入り始めた兆候だ。

トランプ大統領は4日、自身のSNSで「インドは大量のロシア産石油を購入し、その多くを公開市場で転売して巨額の利益を得ている」と批判。さらに「ロシアの戦争マシンによってウクライナでは多くの人命が奪われているが、インドはそれに無関心だ」と非難し、「だからこそ、インドへの関税を大幅に引き上げる」と明言した。
実際、トランプ政権は1日にインド製品に対する25%の関税を発表。これは日本や韓国(15%)、ベトナム(20%)、タイ(19%)などを上回る水準で、特定国への強い圧力として受け取られている。前月31日には、インドがロシア産原油の輸入をやめない限り「追加制裁」を科すという警告も行っていた。
これに対し、インドも黙っていなかった。外務省のランディール・ジャイスワル報道官は同日、X(旧ツイッター)に声明を投稿し、「インドを標的とするのは不当で不合理だ」と強調。「ウクライナ戦争の開始後、インド向けだった従来の供給が欧州に転用され、結果としてロシアからの輸入を始めただけだ」と反論した。
さらにジャイスワル氏は、「米国自身も依然としてロシアから原子力産業向けの六フッ化ウラン、電気自動車用のパラジウム、肥料や化学製品などを輸入している」と指摘し、二重基準を非難。「インドも他の主要経済国と同様、自国の国益と経済安全保障を守るために必要なすべての措置を講じる」と明言し、対抗措置の可能性をにじませた。
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