
米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、米国内唯一の希土類磁石メーカーであるノビオン・マグネティクス(Noveon Magnetics)と、複数年にわたる供給契約を締結した。米国時間6日、ノビオンが発表した。
契約に基づき、GMは自社の大型SUVやピックアップトラックに使用する部品に、ノビオン製の希土類磁石を採用。実際の供給はすでに7月から始まっており、ノビオンは現在、米国内で焼結型ネオジム・鉄・ボロン(NdFeB)磁石を製造する唯一の稼働メーカーとなっている。
NdFeB磁石は、商業用永久磁石としては最も強力かつ高性能であり、特にEVを含む高出力モーターには欠かせない材料だ。
自動車業界は希土類の主要な需要産業のひとつだが、中国による輸出規制と不安定な供給を背景に、各社は調達先の多様化を急いでいる。ノビオンとの契約は、GMにとって米国内での希土類自給体制を構築し、サプライチェーンを強化するための戦略的な一手と位置付けられる。
実際、中国は世界の希土類精製の9割以上を担っており、4月からは新たな輸出許可制度を導入。西側諸国への供給を一層厳しく管理している。こうした中、フォードを含む米系メーカーは代替供給源の確保を進めており、フォードは中国産磁石の供給遅延により生産に影響が出たと明かしている。
今回のGMとノビオンの提携は、素材の国産化を進める米国の製造戦略の一環ともいえる。米中間のサプライチェーン覇権争いが、EVや次世代モビリティ分野でも加速する兆しが強まっている。
なお、GMの株価は1%未満下落し、52.55ドル(約7,760円)で取引を終えた。
注目の記事