
米国のドナルド・トランプ大統領が中国企業との関与疑惑を指摘し、インテルのリップブー・タンCEOの解任を求める中、タンCEOがトランプ大統領と面談する。窮地に立たされたインテルのトップが、大統領とどのような取引を行うのか注目が集まっている。
10日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、タンCEOは11日(現地時間)、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談し、幅広い議論を交わすとともに、インテルとトランプ政権との協力方策を提案する予定だ。タンCEOは、インテルの半導体製造能力が米国の国家安全保障に貢献している点を重点的に説明する見通しである。
タンCEOが急遽トランプ大統領との面談を設定したのは、トランプ大統領がタンCEOに即時辞任を要求したためだ。トランプ大統領は、自身が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」で「インテルCEOは深刻な利益相反に陥っており、直ちに辞任すべきだ。他に解決策はない」と投稿していた。
トランプ大統領のこの強硬姿勢は、米上院情報委員会のトム・コットン委員長(共和党・アーカンソー州)がインテル取締役会に宛てた書簡をきっかけに表面化した。書簡では、タンCEOが中国共産党および中国軍と関係があるとされる半導体企業と関わっているとの疑惑が指摘されていた。
米商務省は先月28日、ケイデンス・デザイン・システムズが中国の軍事力近代化や核兵器開発に必要なスーパーコンピューターを開発する中国の大学などに機密技術を移転し、輸出管理規制に違反したと発表。当時、この企業のCEOを務めていたのがタン氏であった。
これに関連し、ケイデンス・デザイン・システムズは先週、中国の軍事大学に自社のチップ設計製品を販売した容疑で司法省に起訴され、有罪を認め、1億4,000万ドル(約207億万円)以上を支払うことで和解した。
昨年3月、パット・ゲルシンガー前CEOが辞任した後、インテルCEOに就任したタンCEOは、就任以来、半導体受託生産(ファウンドリー)事業の再建に注力してきた。前CEOがインテルの業績悪化を止められずに辞任した経緯もあり、当初は投資家から歓迎された。タンCEOは就任後、ファウンドリー事業の顧客獲得に力を入れ、台湾TSMCやサムスン電子に依存しない独自の半導体供給網確保の必要性を訴えてきた。
しかし、この戦略を巡ってインテル取締役会との対立も深まっている。WSJは関係者の話として「タンCEOは取締役会によって手足を縛られていると感じている」と伝えている。

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