
ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟の約束など安全保障を前提に、現在の前線の凍結を受け入れる方針を検討していると英紙テレグラフが報じた。
テレグラフは11日(現地時間)、欧州の平和計画の一環として、ウクライナが戦闘を停止し、ロシアが既に占領している領土を譲渡することに同意する可能性があると伝えた。そして、ウクライナは(西側の)武器提供とNATO加盟の約束など、強力な安全保障を提供する合意案にのみ同意する方針だと付け加えた。
報道によると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は最近、欧州の首脳たちに「領土の追加割譲は拒否するが、現在の前線の凍結は受け入れられる」という趣旨の柔軟な立場を伝えた。米戦争研究所(ISW)によると、ロシアは現在、ルハーンシク全域、ドネツィクの約75%、ザポリージャとヘルソンのドニプロ川以南の地域を占領している。
ロシアはウクライナ軍がドンバス(ドネツク・ルハーンシク)から撤退すれば休戦すると米国に提案したとされる。ザポリージャとヘルソンに関するロシアの立場は確認されていないが、前線の凍結を求めているとみられる。これに対しウクライナは、ドンバスからの撤退要求は領土の追加割譲に当たるため拒否するが、現在の前線の凍結は安全保障を前提に受け入れるという立場を欧州に示したと解釈される。
ゼレンスキー大統領は以前、ウクライナ国民は占領者に土地を譲らないと述べ、領土割譲を否定していたが、現実的にロシアが占領地を放棄する可能性はないため、立場を調整したとみられる。ロシアの全面侵攻を懸念する欧州もウクライナの安全保障強化と前線の凍結案を積極的に支持している。
英国・フランス・ドイツ・イタリア・ポーランド・フィンランドの首脳と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は9日、共同声明を発表し、現在の前線が交渉の出発点となるべきだと述べた。欧州主要国は特に、ウクライナのNATO加盟の潜在的保証を含む実質的な安全保障を休戦条件に含めるべきだという立場を米国に伝えたとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
西側はゼレンスキー大統領がロシアに一部の領土を譲渡し、戦争を停止する案を国民投票にかけた場合、可決させることができるとみているという。しかし米国・ロシアとウクライナ・欧州は依然として平行線をたどっているようだ。ロシアが終戦条件として掲げるウクライナのNATO加盟放棄や中立国化、西側の軍事支援中断は、西側の要求とは正反対である。
米戦争研究所(ISW)の報告書によれば、ロシアは依然としてウクライナのNATO加入阻止と非武装化(demilitarisation)を含む「キーウの完全降伏」を目指しているとテレグラフは伝えた。西側もロシアのウラジーミル・プーチン大統領が3年間維持してきたウクライナ戦争の目標である「NATO拡大阻止」を突然放棄する可能性は現実的にはないとみている。
休戦の議論を主導する米国のドナルド・トランプ大統領もウクライナの安全保障保証については言及していない。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、トランプ大統領の「土地交換」という表現にはウクライナの安全保障保証や武器支援に関する言及が全くないとし、プーチン大統領が数年間の空白期間後、ウクライナの残りの地域を掌握しないという保証はほとんどないと指摘した。
ゼレンスキー大統領は11日、SNSのX(旧Twitter)で「プーチン大統領は休戦や終戦の準備をしていない。ロシアは新たな攻勢を準備し、兵力を再配置している」と主張した。ウクライナ、英国・ドイツ・フランス・イタリア・ポーランド・フィンランド、EU、NATOの首脳は13日、オンライン首脳会議を開き、立場を調整した後、これをトランプ大統領に伝える予定だ。
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