
米国の人工知能(AI)投資に対する過熱懸念が広がるなか、関連する巨大IT企業(ビッグテック)の株価が2日連続で急落し、ニューヨーク株式市場の主要3指数が軒並み下落している。
20日正午現在(現地時間)、ニューヨーク証券取引所ではダウ工業株30種平均が前日比80.33ドル(約1万1,837円)(0.18%)安の4万4841.94ドル(約660万8,910円)で取引されている。S&P500種指数は40.31ポイント(0.63%)安の6371.06、ナスダック総合指数は253.33ポイント(1.19%)下げて2万1061.62となっている。
とりわけ時価総額上位のハイテク株が軒並み下落し、指数の下げを主導している。エヌビディアが1.62%安となったほか、マイクロソフト(0.83%安)、アップル(1.58%安)、アマゾン・ドット・コム(1.97%安)、メタ(1.23%安)、ブロードコム(2.07%安)、グーグルの持株会社アルファベット(1.19%安)、テスラ(2.70%安)、ネットフリックス(0.80%安)とAI・半導体関連株を中心に急落している。ナスダックは前日も1.46%下落していた。
前日は、ソフトバンクグループが20億ドル(約2,948億348万円)を出資し、トランプ政権が10%の株式取得を目指しているとの観測が出て急騰したインテルが、この日は6.89%下落し前日の上昇分が帳消しとなった。米小売大手ターゲットも第2四半期の純利益が大幅減益となったことを受け、株価が7.27%下落している。
この日のニューヨーク株式市場で重しとなっているのは、オープンAIのサム・オルトマンCEOがAI投資の「過熱」に警鐘を鳴らしたことに加え、中国が半導体の自国調達を拡大していることだという。オルトマンCEOは18日、CNBCに対し「投資家がAIに過度に熱狂しているのは事実だ」と述べ、「バブル」という表現を繰り返した。さらに「米国は中国のAI技術の進展を過小評価している可能性がある」と指摘し、「推論能力の強化は中国の方が早いかもしれない」との見方を示した。トランプ政権が打ち出した対中半導体輸出規制についても「直感的には効果がない」と語った。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によれば、中国当局は今年初めからAI向けデータセンターにおける国産半導体の使用比率を50%以上とする規制を全国に拡大している。昨年3月に上海が先行導入した政策を他地域にも広げるもので、内モンゴル自治区や広東省などを中心に500件超のデータセンタープロジェクトが進行中とされる。
投資家の関心は、21日から始まる米連邦準備制度理事会(FRB)の年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)にも集まっている。特に22日に予定されるジェローム・パウエル議長の講演で金融政策の方向性に関するシグナルが出るかどうかに注目している。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のフェドウォッチによると、連邦基金金利先物市場は9月の利下げ(25ベーシスポイント)が実施される確率を84.8%、据え置きの確率を15.2%と織り込んでいる。
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