
日産自動車は業績不振を打開するため、横浜市に所在するグローバル本社ビルの売却に乗り出した。売却先の有力候補として、米国の投資ファンド「KKR」が浮上した。日本経済新聞(日経)は22日、取引規模が1,000億円未満になる見通しと報じた。
業界筋によると、日産は既に本社売却の入札を実施しており、KKR系列企業が最高額を提示して有力候補になったという。両社は年内の売却完了を目指し協議を続けている。ただし、日産経営陣内部では本社売却に対して慎重な意見もあり、最終的にKKRへの売却が成立しない可能性も残る。
日産は2009年に本社を東京から横浜に移転した。JR横浜駅近くの好立地に位置し、車両展示ギャラリーなども備えている。売却後も「セール・アンド・リースバック(sale-and-leaseback)」方式により賃貸契約を締結し、現在のオフィススペースをそのまま使用する計画だ。この手法は電通グループなど、大企業が活用してきた。資産売却により現金を確保できる一方、賃料負担でキャッシュ・フローが悪化する可能性が指摘されている。
日産の2025年3月期連結決算の最終損益は6,708億円の赤字になり、4期ぶりの赤字転落した。赤字幅は過去3番目の規模で、特に米トランプ政権の関税政策が経営悪化の一因と分析されている。同社は経営再建策として、2026年度までに固定費と変動費を合わせて5,000億円の削減を目指す。世界17か所の完成車工場を10か所に縮小し、神奈川県横須賀市の追浜工場での生産も終了する予定だ。
日経によると、日産は資金調達のため、7月に米ドルとユーロ建ての普通社債で約6,600億円を調達したという。さらにユーロ建て転換社債(CB)約2,000億円を発行し、計8,600億円の資金を確保した。
コメント0