
米国のピート・ヘグセス国防長官が、イラン核施設の完全破壊に失敗したとする報告書を作成した国防情報局(DIA)局長のジェフリー・クルーズ中将を解任したと、ワシントン・ポスト(WP)が22日(現地時間)に報じた。
解任理由は「信頼喪失」とされる。WPによると、これはヘグセス長官が就任以来、チャールズ・ブラウン・ジュニア統合参謀本部議長やリサ・M・フランケッティ海軍作戦部長などの高官解任時にしばしば用いる表現だという。
DIAは6月、米軍によるイラン核施設への電撃空襲に関する初期評価報告書を作成した。CNNやニューヨーク・タイムズ(NYT)などがこの報告書を入手し報じた。当時、米国のドナルド・トランプ大統領はB-2ステルス爆撃機とバンカーバスター(地中貫通爆弾)を投入した「真夜中のハンマー」作戦により、フォルドゥ、ナタンズ、エスファハーンなど3か所のイラン核施設を完全に破壊したと主張した。一方、DIAは「イランの核プログラムをせいぜい数か月後退させただけ」と、相反する評価を下した。
論争が起きると、トランプ大統領は当該報道を「フェイクニュース」と一蹴し、連邦捜査局(FBI)を動員して報告書の漏洩者特定に乗り出した。結局、クルーズ中将の解任は、トランプ大統領の立場を窮地に追い込んだことへの「逆鱗」を買った結果と解釈される。
トランプ大統領は今月初めにも、5~7月の雇用増加率が急減したとの統計を発表した米労働省労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長を更迭した。今年の4月には、極右活動家ローラ・ルーマー氏が「大統領への忠誠心が不足している」と批判した国家安全保障局(NSA)のティモシー・ホーク局長(サイバー軍司令官兼務)が解任されている。
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