メキシコ政府が来年度予算案の発表を前に、中国からの輸入品に対する関税引き上げを検討していると、ブルームバーグ通信が27日(現地時間)、複数の関係者の話として伝えた。
報道によると、メキシコのクラウディア・シェインバウム政権は、来月8日までに議会に提出予定の予算案をめぐる協議の中で、中国製の自動車や繊維、プラスチックなど一部の輸入品に追加関税を課す案を議論しているという。ただし具体的な税率はまだ明らかになっておらず、計画が変更される可能性もあるとされる。

現在、メキシコは中国製自動車に最大20%の関税を課しているが、アメリカが中国に課す関税と比べると低い水準だ。また場合によっては、他のアジア諸国の製品もメキシコでより高い関税の対象となる可能性がある。
こうした動きは、シェインバウム政権が財政赤字の拡大に直面し、歳入確保を通じて財政運営の負担を軽減しようとする一環とみられる。しかし同時に、アメリカからの圧力が背景にあるとの見方もあるとブルームバーグは指摘した。
ドナルド・トランプ米政権は今年初めから、メキシコ当局に対し「アメリカと同様に」中国製品への関税を引き上げるよう求めてきたという。
さらに2月には、スコット・ベッセント米財務長官が、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を基盤とした「北米の要塞」(Fortress North America)構築の必要性を強調した。これは3カ国の貿易・製造業の結びつきを強める狙いがある。
アメリカが最大の貿易相手国であるメキシコに圧力をかけ、中国製の安価な製品流入を抑えようとする背景には、「中国製品がメキシコを経由してアメリカに流入している」とのトランプ大統領の主張が反映されていると、ブルームバーグは分析している。
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