金価格が史上最高水準に急騰している。米連邦準備制度理事会(FRB)が今月にも利下げに踏み切るという期待が高まったことが背景にある。銀など他の貴金属も同時に値を上げてい。
1日(現地時間)、ニューヨーク商品取引所で金先物価格は一時、1オンス当たり3,557.1ドル(約52万5,153円)まで上昇し、4月22日に記録された史上最高値に迫る水準となった。年初来では34%超の上昇となる。ロンドン金属取引所(LME)の基準価格も1オンス当たり3,475ドル(約51万3,032円)と過去最高を更新し、銀先物価格も1オンス当たり40ドル(約5,905円)を突破。2011年9月以来、約14年ぶりの高値を記録した。

市場では、FRBが17日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切るとの見方が優勢だ。ジェローム・パウエルFRB議長は8月のジャクソンホール会議で金融緩和の可能性を示唆し、さらに最近発表された個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想と一致したことで、利下げ期待が一層高まっている。金は無利子資産であるため、金利が下がるとドルなど他の資産に比べ、投資魅力が増すとされる。
ドナルド・トランプ米大統領がFRBに対して露骨な圧力をかける姿勢も金価格上昇を後押ししている。トランプ大統領は最近、FRBのリサ・クック理事の解任を試み、市場はこれを中央銀行の独立性を損なう行為と受け止めた。米国の統治システムへの信頼が揺らぐ中、投資家は安心資産としての金に殺到している。BMOのアナリスト、ヘレン・アモス氏は「市場はFRBだけでなく、米国の行政機関全体に根本的な懸念を抱いている。これは安全資産である金にとって好材料だ」と分析した。
トランプ政権の通商政策を巡る不確実性も依然として続いている。最近、米裁判所はトランプ大統領が課した関税の大部分が違法だとする判決を下し、この判決がドル安を招き、金価格を押し上げる要因となった。
最近の金価格急騰は、本格的な上昇の前兆だとの分析もある。過去4か月間、金価格は1オンス当たり3,300~3,400ドル(約48万7,294~50万2,061円)のボックス圏で推移していた。この期間、米10年国債の実質金利が2%を超え、ドル価値が数十年ぶりの高水準に達するなど、金価格に不利な環境が形成されていた。しかし、各国中央銀行はドル依存度を下げるために大量の金を買い入れ、着実に需要を維持してきた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、2022年第1四半期から今年第2四半期までに、世界の中央銀行は合計3,600トン以上の金を純買いしているという。
カナダの投資分析機関ロゼンバーグ・リサーチは「これまで中央銀行の買い入れと地政学的リスクが金価格を牽引してきたが、今後は利下げとドル安という伝統的な上昇要因が加わる番だ」と分析する。同社は、FRBが最終的に政策金利を3%まで引き下げ、ドル価値が適正水準に戻れば、他の要因を除いても金価格はオンス当たり400ドル(約5万9,058円)ほど上昇し、3,800ドル(約56万1,053円)を超える可能性があると予測。さらに「1オンス当たり4,000ドル(約59万582円)突破も視野に入るかもしれない」と付け加えた。
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