サラリーマンから大企業の会長へと駆け上がり「神話」を築き上げた新浪剛史氏(66・元サントリーホールディングス会長)が窮地に陥ったのは、大麻成分を含む健康補助食品により警察の捜査対象になったためだ。1日に会長職を退いた新浪氏は、3日午後に記者会見を開いた。
約1時間に及んだ会見で、新浪氏は「無実」であると主張した。警察の捜査対象になったため会長職は辞任したが、日本経済界を代表する三団体の一つである「経済同友会」の代表幹事職は継続する意向を示した。彼は「法律違反はしておらず、無実だと確信している」と述べた。

日本経済界の重鎮である新浪氏は、率直な物言いで知られている。麻薬取締法違反の疑いをかけられている彼は、問題になっている健康補助食品が「CBD(カンナビジオール)」を含むもので、法律に違反しているわけではないと反論した。朝日新聞によれば、この成分は大麻由来ではあるものの、含有成分により合法性が異なるという。日本でCBDは合法とされているが、幻覚作用があり強い依存性を引き起こす「THC(テトラヒドロカンナビノール)」成分が含まれていれば、麻薬として分類され処罰の対象になる。
新浪氏の主張は以下の通りだ。今年4月、米国出張中に知人から勧められた。頻繁な出張により時差ボケに悩まされ、健康維持のため購入を決めたという。さらに、米国で購入すれば日本よりも安価であった。日本でも合法と考え、自ら日本に持ち込もうとしたが、出張が長引いたことが問題となった。中東のドバイを経由してインドに向かう予定であったが、これらの国では該当補助食品の持ち込みが困難であった。結果、米国の知人が代わりに補助食品を日本に持参し、新浪氏の自宅へ郵送した。しかし、新浪氏はこの郵便物を「受け取っていない」と主張している。彼は「廃棄された」と説明した。送り主が不明な場合は処分するよう指示していたため、家族が廃棄したとし、自身は補助食品に触れたことがないと述べた。
補助食品の配送問題は再び発生した。二度目も同じ知人が送ったと説明している。先月、福岡県に住む弟宅へCBDを含む補助食品が送られたという。弟はその補助食品を新浪氏の自宅に転送する予定であったが、弟が麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたことで事態が大きくなったとされる。新浪氏は「国内で入手しておらず、合法と信じて購入した補助食品と同一のものかどうかも分からない」と述べ、「無実だ」と主張した。
新浪氏は会長辞任の理由についても説明した。韓国で飲料や酒類メーカーとして知られる「サントリー」は健康補助食品事業も展開している。補助食品事業に携わる企業の会長が「合法性に疑念を抱かせるような補助食品を購入したのは不注意だった」との指摘を受け、「会社に迷惑をかけないため」に辞表を提出したと説明した。彼は「米国にハイボールを広めたい」という思いはあったが、会社に迷惑をかけるわけにはいかないと考えたと語った。
一方、日本経済界を代表する経済同友会の代表幹事職については、別の説明を行った。新浪氏は日本の経済・社会の発展に貢献したいが、経済同友会には会員の倫理規定などの仕組みがあるため、組織の判断に従うとのことだ。
サントリーホールディングスは1899年に大阪で創業された、日本を代表する企業の一つである。新浪氏は1981年に三菱商事に入社後、ローソンに転じ、43歳で代表職に就任して注目を集めた。2014年にはサントリーホールディングス社長に就任したが、創業家出身ではないプロ経営者の抜擢は異例であった。彼の指導下で、米国ウイスキーブランド「ジム・ビーム」の買収に成功した。今年4月にはサントリーホールディングスの会長(CEO)に就任していた。
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