「銃規制反対」を訴えたチャーリー・カーク氏、銃撃で死亡
米国のドナルド・トランプ大統領の最側近であり、保守系若者運動の象徴的人物とされていたチャーリー・カーク氏(31)が大学イベント中に銃撃を受け、死亡した。
事件は10日(現地時間)、ユタ州オレム市にあるユタ・バレー大学で開かれた講演会場で発生した。

約1,000人の聴衆が見守る中、カーク氏は学生と「銃乱射事件の統計」をめぐって口論していた。その最中に銃声が響き、同氏は首を押さえて倒れた。
映像によると、学生が「過去10年間の銃乱射事件の件数を知っているか」と問いかけると、カーク氏は「ギャングの暴力を含めてか、含めないでか」と反問。その直後に銃撃が起きたという。カーク氏は病院に搬送されたが、息を引き取った。
トランプ大統領「偉大な人物を失った」
トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で哀悼の意を表し、「偉大で伝説的な人物であったチャーリー・カークが亡くなった」と記した。
さらに「彼ほど米国の若い世代を理解し、共感した人物はいない。彼は多くの人々から、そして私から深い尊敬と愛情を受けていたが、もう我々のそばにはいない」と述べた。ホワイトハウスは国旗を14日午後6時まで半旗にするよう指示し、国家的な弔意を示した。
民主・共和両党の政治家たちも政治的暴力を一斉に糾弾した。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は「卑劣で許しがたい」と非難。米司法省も「無意味な暴力」と断じ、徹底捜査を約束した。
「銃擁護者」が銃撃死する皮肉
事件後、米メディアとSNSではカーク氏の過去の発言が改めて注目されている。
2023年、テネシー州ナッシュビルのキリスト教系私立学校で発生した銃乱射事件(6人死亡)の直後、同氏は「銃による死は、合衆国憲法修正第2条(銃所持の権利)を守るために甘受すべき現実だ」と発言していた。
また、公式に銃規制への反対を表明しており、メディアでもたびたび取り上げられていた。そのため「銃の権利を擁護してきた人物が銃撃で命を落とした」という皮肉が浮き彫りになっている。

カーク氏は2012年に保守系若者団体「ターニング・ポイントUSA」を設立し、全米3,500以上の大学キャンパスで活動を展開。人気ポッドキャスト番組「チャーリー・カーク・ショー」の司会者としても知られた。さらに「私が間違っていることを証明してみろ(Prove Me Wrong)」と題する討論イベントで進歩派学生らと激しく議論し、保守陣営のアイコンとしての地位を確立した。2024年大統領選では、トランプ大統領の若年層攻略に重要な役割を果たした。
『ロイター通信』は「米国は1970年代以降、最も長期的かつ持続的な政治暴力の時代を迎えている」と指摘。今回の事件もその延長線上にあると報じた。2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件以降、政治的動機による暴力事件は300件を超えている。
コメント0