「イスラエルの最重要同盟国」ドイツも背を向け 二国家解決支持へ転換
「ニューヨーク宣言」国連決議に賛成の方針
「パレスチナ国家の公式承認」は見送りの見通し

イスラエルの最も緊密な同盟国の一つであるドイツが、今月ニューヨークで開かれる国連総会で、イスラエルとパレスチナの「二国家解決」を支持する決議案に加わる予定だと、12日(現地時間)、『ブルームバーグ』が報じた。
同通信は、ドイツが「パレスチナ問題の平和的解決と二国家解決の実現に関するニューヨーク宣言」を採択する国連決議の投票で賛成票を投じる方針だと伝えた。
この「ニューヨーク宣言」は、今年7月にフランスとサウジアラビアの主導で準備され、二国家解決の実現支持に加え、ガザ紛争の終結や民間人攻撃の非難などを盛り込んでいる。
二国家解決とは、イスラエルがパレスチナを占領する以前の1967年第三次中東戦争前の国境線を基準に、イスラエルとパレスチナがそれぞれ国家を建設し、平和的に共存することを意味する。
ただしドイツは、フランスや英国とは異なり、現時点でパレスチナ国家を正式に承認する計画はないと関係筋が明らかにした。また、難民帰還権についても従来通り認めない立場を維持する見通しだ。
ドイツのシュテファン・コルネリウス政府報道官は『ロイター通信』に対し、「ドイツは国際法上、単に現状維持を記したにすぎない決議を支持する。これまでも二国家解決を支持してきたし、今後も変わらない」と述べた。そのうえで「フリードリヒ・メルツ首相は2日前、まだパレスチナを国家として承認する時期ではないと発言している」と付け加えた。
ドイツは7月にも政府声明を通じ、「パレスチナ国家承認は二国家解決実現に向けた最終段階の一つであり、短期間で承認する計画はない」との立場を示していた。
ドイツが国連でイスラエルとパレスチナの二国家論を支持する決定に至った背景には、9日に起きたイスラエルによるカタール空爆が影響を与えたとみられる。
『ブルームバーグ』は「イスラエルがカタールの首都ドーハを前例なく爆撃したことは、ドイツ政府を含む欧州全域で広範な非難を呼び起こした」と指摘した。
国際社会では、2年以上続くガザ戦争でガザ地区の人道危機が深刻化する中、イスラエルとパレスチナの二国家解決を支持する国が徐々に増えている。
国連加盟193カ国のうち、ロシア、中国、スペインなど147カ国がパレスチナを国家として承認している。英国、フランス、カナダ、オーストラリア、ベルギーも今月末の国連総会でパレスチナ国家を承認する意向を表明している。ただし英国は、ガザの人道危機の緩和や長期的な和平プロセスに関するイスラエルの約束がある場合、承認判断を留保する可能性があるという。
ドイツはナチスによるユダヤ人虐殺への反省からイスラエルの最重要同盟国を自任し、無条件の支持を示してきた。7月には、ガザ地区での民間人支援や停戦を求める欧州連合(EU)と25カ国の共同声明にも、米国とともに加わらなかった経緯がある。
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