
東南アジアで麻薬成分を含む違法電子タバコ「ゾンビタバコ」が蔓延したことを受け、シンガポール政府は関連流通に関与した者への処罰を強化した。鞭打ち刑を含む厳罰を科すとともに、一般的な電子タバコにも高額な罰金を適用する。公務員には最大で解雇の懲戒処分を行う方針だ。
28日(現地時間)、ロイターやブルームバーグ通信によれば、シンガポールの内務省、保健省、教育部などは同日合同記者会見を開き、電子タバコ対策を9月1日から施行すると発表した。
麻薬性電子タバコに含まれる全身麻酔誘導剤エトミデートを「第二のプロポフォール」と位置づけ、C級麻薬に分類した。これにより、いわゆる「Kポッド」(Kpod)などエトミデートを含む麻薬性電子タバコを輸入・流通した場合、最長20年の懲役と15回の鞭打ちが科される可能性がある。従来は最長2年の懲役だった。
麻薬性電子タバコの利用者にも、最高700シンガポールドル(約8万247円)の罰金や最長1年間の保護観察を科す方針だ。当局は有害成分を含まない一般的な電子タバコの利用者についても、罰金の上限を従来の500シンガポールドル(約5万7,319円)から700シンガポールドルに引き上げた。2回目の摘発では3か月の更生措置、3回目では刑事告発とし、最高2,000シンガポールドル(約22万9,277円)の罰金を科す方針とした。
電子タバコ使用で摘発された場合、司法当局の処罰に加え、学生は停学、公務員は解雇、軍人は解雇または拘禁の懲戒処分を受ける。外国人は複数回摘発されれば入国禁止の対象となる。
処罰強化の背景について、シンガポール保健相のオン・イェクン氏は電子タバコが「深刻な薬物乱用への入り口となった」と述べた。
シンガポールは2018年から電子タバコの使用を禁止していたが、取り締まりは限定的だった。しかし近年、タイをはじめ東南アジアで流通が拡大するゾンビタバコの流入を受け、処罰と取り締まりの強化に踏み切った。シンガポール政府によれば、先月押収された電子タバコの検査で約3分の1からエトミデートが検出された。
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