ドナルド・トランプ政権の高率関税措置と気候変動による生産量減少が重なり、コーヒー豆価格が高騰を続けている。これにより、コーヒー愛好家の家計はさらに圧迫されることが予想される。

16日(現地時間)、ブルームバーグ通信は、スターバックスなど主要コーヒーチェーンが使用するアラビカ種の先物価格は1ポンド当たり4.24ドル(約623円)に上昇し、2月に記録した史上最高値の4.29ドル(約630円)に迫っていると報じた。コーヒー先物は今後のコーヒー価格を決定する指標であり、先月初め以降、約50%上昇している。
コーヒー先物価格急騰の主な要因は、不安定な在庫状況にある。世界最大の生産国であるブラジルでは天候がさらに不安定化し、作柄が悪化した。その結果、アラビカ種の在庫は昨年4月以来の最低水準に落ち込んでいる。市場はブラジルの気象予報に神経を尖らせている。
気象予報専門会社クリマテンポ(CLIMATEMPO)の気象学者ナディアラ・ペレイラ氏は報告書で「南東部のコーヒー栽培地域における予想降雨量は、土壌の水分を回復するにはまだ不十分」と指摘している。これは、今後ブラジル産コーヒー豆の在庫が不安定になりやすいことを示唆している。
ブルームバーグ通信は「関税と干ばつにより、世界最大の生産国ブラジルのコーヒー豆供給が減少するとの懸念から、投資家が積極的に買いに乗り出しており、価格が乱高下している」と分析した。
特に米国は消費する豆の約3分の1をブラジルから輸入しているため、小売部門が直撃を受けている。米労働統計局によると、8月の食料品店での挽きコーヒー価格は11日時点で1ポンド当たり8.87ドル(約1,303円)で史上最高を記録。コーヒーの消費者物価指数(CPI)も前年同期比21%上昇し、1997年以来最大の上昇率を示した。
トランプ政権による高率関税措置が導入されて以降、米国向けのコーヒー出荷量は既に減少が顕著であり、供給量減少の影響がさらに高まっている。貿易支援サービスを手掛ける株式会社Visionは、今年に入ってブラジルから米国向けのコーヒー出荷量は半減し、先月は前年同期比で75%急減したと分析している。
ロイター通信は「コーヒーは米国の食品価格を持続的に高水準に保つ品目の一つ」とし、「関税導入以降、出荷が途絶えたため、現地のロースター(卸売業者)は取引所の認証在庫を含め、確保可能な量を急いで買い付けている」と報じた。
これまで余剰在庫が供給減少の影響を緩和してきたが、この状況が続けばコーヒーの小売価格上昇が余儀なくされる。INGグループの食品・農業担当チーフエコノミスト、タイス・ヘイエール氏は「米国民がこれまでと同様にコーヒーを消費すれば、在庫には限界がある」とし、「追加出荷は必須だが、問題はその量をどこから確保できるかだ」と指摘している。
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