
ドナルド・トランプ米政権の反移民政策を担う中核機関・米国移民・関税執行局(ICE)が、全米規模で組織拡張を進めていると、ワシントン・ポスト紙が報じた。
同紙によると、ここ数週間でICE幹部は連邦不動産を管理する米国政府調達庁(GSA)に接触し、1万人超の新規職員を収容するため、全国約300か所の新オフィススペースを早急に確保するよう求めているという。
クリスティ・ノーム国土安全保障長官は、ICEが「不法移民追放に協力したい愛国的なアメリカ人」から15万件以上の応募を受け、すでに1万8,000人に暫定採用を提示していると明らかにした。
ICEは、主席法律顧問室(OPLA=起訴案件の法務助言・法廷弁護を担う部門)や執行・排除活動部門(ERO=外国人の逮捕・拘留・送還を担う部門)の拡充を見据え、1万人以上の新規職員や追放案件担当弁護士の追加採用を計画している。応募者の年齢制限を撤廃し、退職した元職員に最大5万ドル(約750万円)の復職ボーナスを支給するなど、人材確保に総力を挙げているという。
同時にオフィス拡張も急ピッチで進められており、GSAはICE拡張専任部門を設置して全米各地での物件契約を模索中だ。ICEは賃料にこだわらない迅速な契約を求めているとされる。
連邦議会は今年、ICEの取り締まり・送還予算を従来の3倍となる299億ドル(約4兆4,850億円)に増額し、収容施設建設に450億ドル(約6兆7,500億円)の支援を約束した。GSAは「ICEの使命達成に貢献でき誇りに思う」との声明を発表し、「人員需要に見合う施設整備をパートナー機関と連携して進める」としている。
市民権法の専門家であるヒロシ・モトムラUCLA法学部教授は、「議会の予算拡大と裁判所による拘留権限付与を受け、この拡張は自然な流れだ」としつつ、「重要なのは、拡張前からすでに市民が取り締まりの対象になっていた点だ」と指摘している。
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