
ロシアのドローン(無人機)素材供給会社のCEOが、モスクワ郊外の路上で遺体で発見されたと、19日(現地時間)ロシア国営のタス通信などが伝えた。報道によると、モスクワ地域ココシキノ村の路上で遺体として発見された男性は、ロシア国営の原子力企業「ロスアトム」の子会社、「NPKヒンプロムエンジニアリング(NPK Khimpromengineering)」のCEOアレクサンドル・チューニン氏(Александр Тюнин・50)に確認されたという。
モスクワ近郊の森に隣接する道路上で、チューニンCEOのトヨタ車が歩道にぴったりと寄せて駐車されており、遺体は車のすぐ脇で発見された。遺体付近の車輪下から猟銃が、車内からは自筆の遺書も見つかった。遺書には、5年間うつ病に苦しみ、症状が年々悪化していたという内容と共に、妻の連絡先も記されていたとされる。タス通信などのロシアメディアは、遺書と現地警察の予備調査などを根拠に、この事件を自殺と推定して報じた。
チューニンCEOの遺体を最初に発見した人物の一人は「当初、男性が困っていると思い車から降りて助けようとしたが、近づくと胸に散弾が刺さっており、銃口に血が付いていた」と証言した。

NPKヒンプロムエンジニアリングは化学繊維・炭素複合材料の製造会社であり、チューニンCEOは2016年4月からCEOを務め、特に航空用炭素複合材の生産を監督してきた。その後、同社はロスアトムの先端素材専門子会社「ウマテックス」に統合され、ウクライナ戦争勃発後の2023年2月、ウマテックスは米国の制裁対象になった。
フランス紙「ル・パリジャン」は、NPKヒンプロムエンジニアリングがウクライナ戦争に投入されるドローン開発に寄与していると報じた。また、チューニンCEOは戦争勃発の2022年2月以降、不審な死を遂げた20人目のロシア高官になったと付け加えた。
9月には、バルト海に面したロシアの飛び地、カリーニングラードで、鉱山・肥料会社役員のアレクセイ・シニツィン氏が首を切断された遺体で発見された。7月には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に解任されたロシアのロマン・スタロボイト前運輸相が、モスクワ郊外で車内で銃撃を受け死亡した遺体が発見された。
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