
終戦のためにはウクライナに領土の一部を放棄させるべきだと圧力をかけていた米国のドナルド・トランプ大統領が初めて「領土奪還」に言及した後、欧州では安堵感と共に疑念が入り混じった反応が出ている。ウクライナを追い詰め、ロシア寄りの姿勢を見せていたトランプ大統領が突如立場を変えたためだ。
トランプ大統領は23日(現地時間)、SNSの「トゥルース・ソーシャル」に「ウクライナが欧州連合(EU)の支援を受けて戦争で勝利し、元の形で自国の領土を取り戻せる位置にあると考える」と投稿した。彼の発言が実際の米国の政策変更を意味するかは現時点では不明である。むしろ戦略的曖昧さを維持しつつ、ウクライナ支援における米国の役割を弱め、欧州の責任を強調する可能性があるとの見方も出ている。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の国際安全保障責任者であるネイル・メルビン博士は24日、ロイター通信に対し、トランプ大統領のウクライナ戦争に対する考えが変わったことを示唆している点で欧州が自信を得ていると分析した。メルビン博士は「トランプ大統領が戦争はより複雑だと認め、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して明らかに挫折感を抱いている」と述べ、これを「ウクライナと欧州外交の成功」と評した。
しかし、彼はトランプ大統領がウクライナ戦争に対する戦略的曖昧さを維持しており、米国の支援約束なしにウクライナを鼓舞していると指摘した。ウクライナ戦争での米国の主導的役割から距離を置き、その責任を欧州に押し付けているというのだ。
英国のシンクタンク・英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)の研究員であるジャロスラヴァ・バルビエリ氏も「プーチン大統領が自分を操っているという事実をトランプ大統領が認識し始めた」と述べた。
バルビエリ研究員は、トランプ大統領が「効果的な平和仲介者」というイメージを維持するために、欧州とロシアに責任を転嫁することで出口を探っていると説明した。この場合、ウクライナ戦争が終結せず続いても、それはトランプ大統領の責任ではないということになるというのが彼の解釈だ。
西側の当局者たちもトランプ大統領の発言が「今やウクライナ支援は欧州の役割だ」という信号である可能性があると解釈した。東欧のある高官は「この問題が欧州の問題だというメッセージを伝えることで、彼が手を引き始めたことを示そうとしている」と述べた。西欧のある当局者は、トランプ大統領が「別れの挨拶」をしているようだと解釈した。
しかし、トランプ大統領の発言がいつまた覆るかもしれないという不安感は依然として残っている。メルビン博士はトランプ大統領の発言はいつでも再び変わる可能性があると警告した。彼は、プーチン大統領への電話一本で変化が起こりうるとトランプ大統領が認識していると指摘した。これが、根本的に過去8か月間でトランプ政権に対する欧州の信頼が低下し、今回のトランプ大統領の発言も信頼回復につながらないだろうと見る理由だと付け加えた。
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