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「ロシアの悪魔的陰謀」欧州を覆うドローンの“恐怖の警告” …NATO全域を揺るがす衝撃シナリオ

竹内智子 アクセス  

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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先月10日(現地時間)、ロシアのドローン「ゲルベラ」など約20機がポーランド領空に侵入し、一部が北大西洋条約機構(NATO)戦闘機の迎撃を受けて撃墜された。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、周辺国でミサイル発射やドローン領空侵犯は繰り返されてきたが、実際に交戦して撃墜したのは今回が初めてだ。これを受け、NATO条約第4条が約3年半ぶりに発動された。1949年のNATO創設以来、第4条に基づく理事会の公式協議はわずか9回目となる。

22日にはデンマーク上空でもロシア発とみられるドローンが出現し、コペンハーゲン空港が閉鎖した。2日後にも同様のドローンが確認され、オールボー空港も閉鎖に追い込まれた。航行灯を消して海岸に停泊するロシア軍艦も発見された。だがメッテ・フレデリクセン首相はロシアを名指しせず、「欧州ではより暴力的で頻繁なハイブリッド戦争が新たな現実となる」と警告した。ノルウェーやフィンランド、ドイツなどロシアに近い欧州各地で、ロシア発とみられるドローンが相次ぎ、主要空港が閉鎖される事態が続いている。

エストニアでも20日、ロシア戦闘機3機が12分間領空を侵犯し、同国戦闘機が緊急発進した。ロシアは侵犯を否定しているが、『CNN』は「西側政府関係者は、責任主体が不明確という『ハイブリッド戦争の逆説』に日々直面している」と報じた。

欧州各国は「即応せざるを得ないが、明確な証拠が乏しく全面対処も難しい」というジレンマに置かれている。英『スカイニュース』は「欧州が防衛費を大幅に増額し、ウクライナ支援を強化する中、ロシアは安価なドローンで欧州の防御を揺さぶり、欧州がウクライナより自国防衛に注力すべきだと示している」と分析した。ロシア専門家マーク・ガレオッティ氏も「NATOが揺らげば逆にプーチン大統領が圧力を強める契機となり得る」と警鐘を鳴らす。

こうした「グレーゾーン戦略」は、戦争を即座に引き起こす「レッドライン」を巧妙に避けつつ相手国を揺さぶる行為とされる。今回のドローンも弾頭を搭載しておらず死傷者は出ていないが、GPS妨害や単なる偵察とみるには数や侵入深度が大きすぎる。

2023年10月7日、ハマスがイスラエルを奇襲する前に爆発物入り風船を繰り返し飛ばした例のように、低強度の挑発が積み重なれば相手の警戒心を緩め、武力衝突を招く恐れがある。NATO条約第5条による集団防衛発動を困難にさせる狙いも指摘される。

さらにロシアが「グレーゾーン戦略」を通じ、集団防衛の要である米国が欧州防衛にどこまで関与するかを試しているとの見方もある。トランプ米大統領は就任前から欧州各国にGDP比5%以上の防衛費拡大を迫り、在欧米軍の縮小・再配置を示唆するなど「欧州防衛を放棄しかねない」との印象を与えてきた。先月はプーチン大統領をアラスカに招き会談するなど融和姿勢を見せつつ、23日の国連総会演説では「侵攻を終えなければ強力な追加関税を課す」と発言した。欧州ではこうした言動の揺れがロシアを勢いづけるのではないかと警戒している。

ロシアの「グレーゾーン戦略」はドローンにとどまらない。英国では18日、ロシアに関与したとされる男女3人がウクライナ向け物資倉庫に放火した罪で国家保安法に基づき有罪判決を受けた。ポーランドでも先月、バルト海沿岸リゾート地ソポトで水道施設を破壊しようとしたウクライナ人青年が逮捕され、警察はロシア犯罪組織に買収されていたと判断した。『AP通信』によれば、侵攻開始以降ロシアの工作による「サボタージュ(破壊活動)」は少なくとも80件に達している。

また28日に行われたモルドバ総選挙では、ロシアによる介入の形跡が確認された。反汚職当局は、総選挙の6日前にロシアから流入した暗号資産が現金化され、親ロシア政党の選挙活動に使われたと発表した。中央選管は親ロ派の「モルドバ心臓党(PRIM)」と「大モルドバ党(PMM)」の登録を取り消した。両党はロシア資金を受け取り、犯罪組織を動員して暴動を扇動し有権者を買収した疑いが持たれている。欧州を狙うロシアのハイブリッド戦争は、銃声ひとつなく進行している。

竹内智子
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