
米エネルギー省のクリス・ライト長官は、政府が「リチウム・アメリカズ」の株式5%と「タッカー・パス」鉱山プロジェクトの株式5%を取得すると明らかにした。ライト長官が先月の30日(現地時間)、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューでそう述べたとブルームバーグが報じた。
ライト長官は「この鉱山の建設が米国の最善の利益にかなう」とし、「数年以内に輸入リチウムの大部分を代替できるようになる」と付け加えた。ロイター通信によると、エネルギー省は新株予約権無償割当を通じて株式を取得する見込みである。
カナダのリチウム・アメリカズと米自動車大手「ゼネラルモーターズ(GM)」は、合弁事業を通じて米ネバダ州タッカー・パスにある米国最大のリチウム鉱山を開発中である。両社の出資比率は62対38である。GMはこのプロジェクトに6億2,500万ドル(約919億8,126万円)を投資し、第1段階の生産量全量と第2段階の生産量の一部を今後20年間購入する権利を確保している。
ブルームバーグによると、ジョー・バイデン前政権時の2022年10月、エネルギー省がタッカー・パスのプロジェクトに22億ドル(約3,237億7,402万円)の融資を提供することを決定したという。融資実行の初期条件を満たせなかったリチウム・アメリカズとGMがエネルギー省に融資の再構築を要請した。これを受け、政府関係者が納税者保護のために外部資本の追加を要求するなど、融資条件の変更を模索したという。
当初の協議では、政権関係者が市場状況に関係なくGMにリチウム購入を保証するよう求めたが、GMがこれを拒否したため株式取得要求に至ったとされる。ロイター通信は、エネルギー省の株式要求に対し、リチウム・アメリカズ側が融資金の第1次分実行を確保するため、普通株5~10%を取得できる新株予約権無償割当の提供を提案したと伝えている。
エネルギー省の声明によると、この施設が第1段階の操業に入れば、年間約4万トンのバッテリーグレードの炭酸リチウムを生産し、リチウムイオン電池製造に供給する予定だという。これは電気自動車最大80万台分に相当する。現在、米国では世界最大のリチウム生産企業「アルベマール」が所有するネバダ州の施設で年間5,000トン未満のリチウムを生産している。
このプロジェクトは、米国内のリチウムサプライチェーン構築と対中依存度の低減を目指すもので、共和・民主両党から超党派の支持を得てきた。今回の事例は、米トランプ政権が国家安全保障の観点から、中国が戦略物資化する重要鉱物を確保するために、企業の株式を直接取得する新たな事例になる。
これに先立ち米戦争省は、米国内唯一のレアアース鉱山を運営する「MPマテリアルズ」に4億ドル(約588億6,577万円)を投資し、筆頭株主になった。さらにトランプ政権は、半導体法に基づいて承認された補助金など89億ドル(約1兆3,098億円)を投資し、経営難に陥っている「インテル」の株式9.9%を確保した。
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