
米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ休戦関連会談が突如保留されたのは、ロシアが米国の休戦案に難色を示したためとみられる。
21日(現地時間)、米主要メディアによると、米国のマルコ・ルビオ国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は20日に「生産的な通話」を行ったが、当初23日にハンガリーで開催予定だった米ロ外相会談は実施しないとホワイトハウス高官が伝えたという。
中止になった米ロ外相会談は、トランプ大統領が先週、約2週間以内に開催されると述べた米ロ首脳会談の準備の場になると予想されていた。しかし、今後実施される首脳会談の議題調整と立場整理を目的にする外相会談が中止されたことで、首脳会談自体も実施されない雰囲気になっている。
このホワイトハウスの高官は、トランプ大統領が近い将来、プーチン大統領と会う計画はないと説明した。クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、確定していない事案を延期することはできないとして、首脳会談開催の可能な日程についてもロシア側が把握していないと説明した。
英紙テレグラフによると、ラブロフ外相は20日、ルビオ長官との通話で、ウクライナにおける即時休戦が意味するのは、ウクライナの大部分が引き続きナチス支配下に置かれるということだと述べたという。これは、「現行前線の凍結を前提として交渉が進められなければならない」という米国および欧州連合(EU)・ウクライナ側の立場を、ロシアが全く受け入れる意思がないことを示すものとみられる。
また、ロシアがウクライナに親ロシア政権の樹立を促す政権交代を推進する意向を示唆したと解釈される。
ロイター通信によると、ロシアは先週末、米国に非公開の通信を送り、自国が望む講和条件を伝えたという。その中には「ドンバス」とまとめて呼ばれるドネツク・ルハーンシクなどウクライナ東部2州全体の統制権を要求する内容が含まれていた。現時点で、ロシアはルハーンシク州全体とドネツク州の75%を占領している。
ある欧州の高官外交筋は、ルビオ長官とラブロフ外相の会談が延期されたことについて「ロシア側があまりにも多くを要求したため、たとえブダペストでトランプ大統領とプーチン大統領の首脳会談が開かれたとしても、トランプ大統領が合意に至ることは不可能だと米側が判断しただろう」との見方を示した。
別の欧州の高官外交筋は「ロシア側が立場を全く変えず「現状維持」に合意していない」とし、「私の推測では、ラブロフ外相が同じく長々とした論調を繰り返し、ルビオ長官が『また会いましょう』と言ったのだろう」と述べた。
米国の政治専門メディア「ザ・ヒル」によると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日の定例国民向け映像演説で、トランプ大統領が米国のトマホーク・ミサイルのウクライナ支援を見送ったことで、ロシア側が外交による解決に対して無関心になったと主張した。
ゼレンスキー大統領は、「我々の長距離攻撃能力の問題が緊急でなくなると、ロシアの外交への関心はほぼ即座に消えた」とし、「まさにこの問題、(ロシア領深部への)攻撃可能な我々の能力こそが、平和への不可欠な鍵になる可能性がある」と述べた。
彼は、「ウクライナの遠距離攻撃可能範囲が拡大するほど、戦争終結を望むロシアの意向も強まる。ここ数週間でこの点が再確認された。トマホークに関する議論は外交への重要な投資であることが証明された。ロシアはトマホークこそが、自国が真剣に受け止めるカードであることを示さざるを得なかった」と述べた。
ただし、プーチン大統領の特使であり、ロシア直接投資基金(RDIF)のCEOでもあるキリル・ドミトリエフ氏は、ソーシャル・メディアで、米ロ首脳会談の準備は続いていると述べた。
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