
ドナルド・トランプ米大統領は、電気自動車(EV)税額控除の廃止や温室効果ガス排出規制の撤回により、EV産業政策を大幅に転換し、米国は世界のEV市場で中国に後れを取るリスクに直面した。
26日(現地時間)、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、トランプ政権がEV政策を後退させ、ガソリン車を優先する姿勢を強めたため、米国内のEV関連投資が急減していると報じた。
FTによれば、バッテリー、組立、充電インフラなどEV関連投資の規模は、第3四半期に約81億ドル(約1兆1,974億円)と集計され、前四半期比で3分の1程度に減少した。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)と調査会社ロジウム・グループが共同で構築したデータベース「クリーン・インベストメント・モニター」によると、4~9月の間に約70億ドル(約1兆348億円)規模のEV投資計画が撤回されたことが分かった。
業界関係者と専門家は、今回の政策後退が今後のEV産業の構図を一変させる可能性があると警告した。
中国の市場支配力をさらに高める一方で、欧州連合(EU)が掲げる2035年のガソリン車販売禁止方針への懐疑を裏付ける可能性があるとの見方も出ている。
自動車メーカー、ボルボ・カーのホーカン・サミュエルソン最高経営責任者(CEO)は、「中国と競争するには開発速度を上げる必要がある」と述べ、「ホワイトハウスの政策後退は産業全体の革新を鈍化させるだろう」と語った。
一部の欧州自動車メーカーは、EUに対し、ガソリン車販売禁止条項の緩和を求め、2035年以降もプラグインハイブリッド車の販売を認めるよう要請している。
トランプ大統領は、バイデン前政権のEV推進政策を全面的に否定し、EVが「米国の自動車産業を完全に破壊する」と警告している。
この政策転換により、米国内のEV販売見通しも大幅に下方修正された。
コンサルティング会社アリックスパートナーズは、来年の米国における完全EVの販売比率が従来予測の13%から半減し、7%にとどまると分析した。
同年、ハイブリッド車は22%、ガソリン車は68%、プラグインハイブリッド車は3%を占めると予測した。
2030年の完全EV販売比率は18%にとどまると予測され、欧州の40%や中国の51%に比べ大きく後れを取る見通しだ。
一方、トランプ政権の「ガソリン車回帰」政策は、短期的には自動車業界に利益をもたらす可能性があるが、長期的には中国との技術格差を一段と拡大させる懸念がある。
アリックスパートナーズのマーク・ウェイクフィールド・グローバル自動車市場責任者は、「短期的には数十億ドル規模の利益が見込まれるが、長期的には中国企業がバッテリー技術、価格競争力、ソフトウェア分野で米国を上回る可能性が高い」と述べた。
















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