
イーロン・マスク氏が率いる宇宙企業スペースXが、人類の月復帰のためのスターシップ開発の遅れを指摘した米国政府に対し、「もっと早く月に行ける方法がある」と主張した。
スペースXは今月30日、公式ブログを通じて「より迅速かつ安全に月に戻れる簡素化された任務構造をNASAに提案し、評価中だ」と明らかにした。
これは、中国との宇宙競争で後れを取る可能性があるとのNASAの公開圧力に対する反応だ。
ショーン・ダフィー米運輸省長官兼NASA長官代行は20日、CNBCに出演し、スペースXのスターシップ開発の遅れを批判した。
ダフィー長官は「我々は中国との競争に勝たねばならない」とし、2021年にスペースXと締結した44億ドル(約6,773億3,592万4,006円)規模の月着陸船開発契約を他社との競争入札に切り替える可能性があると警告した。
NASAはすでに、スペースXだけでなくジェフ・ベゾスのブルーオリジンとも月着陸船開発契約を結んでいるが、より早い計画を提示する企業にチャンスを与える意向だ。
これに対しスペースXは、NASAに「簡素化された任務構造および運用概念」を提案した。スターシップが月着陸任務全体を担う案だ。
現在のNASAのアルテミス計画第3段階では、巨大ロケットスペース・ローンチ・システム(SLS)が宇宙飛行士をオリオンカプセルに乗せて月軌道まで送り、その後月軌道でスターシップとドッキングして着陸する方式で構成されている。
しかしスペースXは、スターシップがこの全過程を単独で処理することで任務を大幅に簡素化し、月復帰を早め、同時に乗組員の安全性を高められると主張した。
スターシップが月着陸任務全体を遂行するには「宇宙給油」技術が不可欠だ。巨大なスターシップが月まで飛行するのに必要な膨大な量の燃料を、地球低軌道で何度も補給せねばならないからだ。
スペースXは、宇宙給油技術を来年に実証すると明らかにした。これは、当初NASAが示した2024年初めより約2年遅れだ。
これまでスペースXはスターシップの試験飛行を計11回実施し、技術開発に拍車をかけている。だが、今回提示した計画がNASAと米政府の焦りを解消できるかは不透明だ。
ドナルド・トランプ米大統領は、NASAのアルテミス計画を通じて2027年までに有人月着陸を実現させ、中国が目指す2030年有人月着陸計画に先んじるべきだと再三強調している。














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