
米トランプ政府の「相互関税」の行方を決める最高裁判所の裁判が迫る中、トランプ政府側は「プランB(代案)」があると強調した。トランプ政府は相互関税無効判決が出ても、他の貿易法を利用して関税攻撃を続ける見込みだ。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は4日(現地時間)のブリーフィングで、翌日の連邦最高裁の相互関税裁判について「我々はこの事件で大統領と彼のチームが示した法的論拠に100%確信している」と強調した。続けて「最高裁が正しい判決を下すという楽観を維持している」と述べた。
レビット報道官は裁判の争点になっている大統領の非常権限の範囲について「大統領は関税を使用する非常権限を必ず持っていなければならない」と主張した。米国のドナルド・トランプ大統領が関税を利用して世界各地で紛争を終息させ、投資を誘致したと強調した。もし最高裁がトランプ政府に不利な判決を下した場合、どうするかという質問に「ホワイトハウスは常に『プランB』を準備している」と答えた。同時に「大統領の側近たちがそのような状況に備えないのであれば無謀なことになる」と述べた。ただし具体的な代案については説明しなかった。
トランプ政府は2~3月にカナダ・メキシコ・中国がフェンタニルの生産・流通を放置したとして20~25%の関税を課した。また4月には世界185か国・地域が米国と不公正貿易を行っているとして10~50%に達する相互関税を課した。
トランプ政府はこれらの関税を課す根拠として「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を用いた。IEEPAは米国の大統領が「緊急かつ特別な脅威」に対抗して経済的な緊急事態を宣言する場合、大統領に広範な権限を与える法律で、1977年の制定以来、イランや北朝鮮などに制裁を行うために使われてきた。
これに対し、新たな関税で被害を受けた米企業5社とオレゴン州など12州政府は4月にトランプ政府を相手にフェンタニル関税・相互関税無効訴訟を提起した。現地の裁判所は5月の1審判決と8月の2審判決で原告側の主張を認めた。トランプ政府は米連邦最高裁に最終3審の上告状を提出し、最高裁は今月5日から口頭弁論を開始し、裁判に入る。
米国のスコット・ベッセント財務長官は9月のインタビューで、裁判に敗訴した場合、関税を還付するかという質問に「約半分の関税を還付しなければならず、それは財務省にとって悪夢のようなことになるだろう」と説明した。米税関・国境警備局(CBP)によると、9月23日まで企業が納付したIEEPA関税の規模は約900億ドル(約13兆7,862億円)だという。これは9月30日に終了した米政府2025会計年度全体の関税収入の半分以上に達する金額だ。
米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表は9月の演説で「この訴訟には非常に自信がある」とし、もし敗訴しても「他の法的手段を通じて関税を維持する」と強調した。当時グリア代表は米国が関税賦課に使用していた通商法301条(1974年制定)、通商拡大法232条(1962年制定)に言及した。
これら2つの法律はいずれも米政府の貿易報復を許可するものだが、IEEPAとは手続き上の違いがある。米国の大統領が通商法301条・通商拡大法232条を発動するには、それぞれUSTRと商務省が貿易相手のリスク評価を終えるまで待たなければならない。それに対しIEEPAに基づく規制は緊急事態宣言直後すぐに使用できる。トランプ大統領は今年、輸入鉄鋼や自動車などに関税を課す際に通商拡大法232条を用いた。















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