温室効果ガス排出量が過去最多に…このままでは今世紀末「破局」避けられず
削減目標を達成しても地球の温度は2.8度上昇…生物多様性の臨界点を超える恐れ
国連環境計画「迅速かつ大幅な削減が必要」…目標提出国は全体の40%未満

昨年、世界の温室効果ガス排出量が過去最多の577億トン(二酸化炭素換算)に達した。世界各国が国連に提出した温室効果ガス削減目標(NDC)をすべて達成したとしても、今世紀末の地球平均気温は産業革命前より2.3度から2.5度上昇すると予測されている。
国連環境計画(UNEP)は4日(現地時間)、このような内容の報告書を発表し、「温暖化による人的・経済的被害を抑えるためには、より迅速かつ大幅な排出削減が不可欠だ」と警鐘を鳴らした。
「二酸化炭素換算トン」とは、異なる温室効果を引き起こすメタンや六フッ化硫黄などの温室効果ガスを二酸化炭素排出量に換算した数値を指す。
報告書によると、昨年の世界全体の温室効果ガス排出量は前年比で約2.3%増加したという。これは2022年から2023年の増加率1.6%を大きく上回る。この増加率は2010年代の年間平均増加率の約4倍に達し、気候変動対策が十分でなかった2000年代の平均増加率2.2%とほぼ同水準だった。つまり、温室効果ガス排出が再び急増していることを示している。
UNEPは、世界各国が現在のペースで排出を続けた場合、今世紀末の地球平均気温は2.8度上昇すると予測している。これは、2015年にフランス・パリで開かれた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で195カ国が合意した「地球の平均温度上昇幅の1.5度制限」という目標を大きく超える。
1.5度上昇幅制限目標は、気候と生物多様性が不可逆的な変化を起こさないための最低限の基準とされており、2.8度上昇は事実上の「破局」を意味する。
UNEPは世界各国が現在、国連に提出している削減目標をすべて履行しても、今世紀末の地球平均気温上昇は2.3度から2.5度に達する見通しだとしている。
国別の2024年の排出量では、中国が156億トンで最多、次いで米国が59億トン、インドが44億トン、欧州連合(EU)が32億トン、ロシアが26億トンと続いた。韓国の暫定排出量は6億9,158万トンと推計されている。
UNEPは、インドと中国の排出量増加率が最も高く、主要国の中で減少したのはEUだけだったと分析した。
「1.5度目標を達成できる最後のチャンス」とされる第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)は、各国のNDC提出率の低さや参加率の低迷、米国の不参加表明などから、開幕前から冷え込んだムードに包まれている。
締約国会議は今月10日からブラジル北部のベレンで開催されるが、NDCを提出した国は全体の40%にも満たないという。提出期限の9月30日までに提出したのは64カ国、期限後に提出した国も11カ国にとどまっている。
主要排出国である米国、中国、インドはいずれも未提出で、EUも加盟国間の合意がまとまらず提出していない。韓国は6日に公聴会を開き、土壇場でNDCを確定させる予定だという。
さらに、米国が高官級代表団を派遣しないことも懸念材料となっている。米ホワイトハウスは今月1日、公式に代表団の派遣を見送ると発表した。米国は気候協定から脱退はしていないものの、ドナルド・トランプ米大統領は以前から「気候変動は詐欺だ」と主張してきた。
加えて、開催地ベレンでは宿泊費が高騰しており、発展途上国の中には参加を断念するケースも出ると予想される。アフリカ、アジア、太平洋、カリブ海地域で構成される最貧開発途上国グループは「宿泊費に関する懸念が大きい」と表明しており、開催国ブラジルが宿泊支援を進めているものの、例年より参加国・参加者が少なくなるとの見方が広がっている。


















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