米シンクタンクAFPI、「中国の農業分野浸透は国家安全保障上の脅威」

米ワシントンD.C.に拠点を置く親トランプ系シンクタンク「アメリカ・ファースト政策研究所(AFPI)」は5日に行った記者会見で、「中国共産党が米国の農地やインフラへの投資を通じて農業技術や関連ノウハウを取得し、得られた知的財産や営業秘密を本国に報告することで、食料安全保障を強化しようとしている」と警告した。米下院で対中戦略競争特別委員会の委員長を務める共和党のジョン・モーレナール議員は「食料安全保障は国家安全保障そのものだ」と述べ、「中国が取得した軍事施設周辺の農地は、諜報活動や有事の攻撃拠点として利用され得る。米国は農地や農業生産技術に対する主導権を失ってはならない」と強調した。
AFPIが同日公表したファクトシートは、「米国の農業部門は中国企業により浸透され、深刻な国家安全保障上の脅威となっている」と指摘した。さらに「中国共産党は食料供給網の攪乱、農業テロの支援、知的財産の窃取、企業データの収集、通商関係の操作、農地や戦略的不動産の掌握など、米国の文明的基盤を弱体化させ得るあらゆる機会を体系的に利用している」と警鐘を鳴らした。米国内総生産(GDP)の5%以上を占め、就業人口の約10%が従事する基幹産業である農業についても、同ファクトシートは「中国共産党の影響下にある企業が複数の分野で相当の持ち分を保有している」と指摘し、「敵対的外国勢力に開かれた脆弱な体制を放置する余裕はない」とした。
トランプ政権の第1期に国連食糧農業機関(FAO)米国代表を務めたキップ・トム氏は、「米国の農業分野は長年にわたり、長期的安全保障より短期的利益を優先してきた」と述べ、「その結果、世界の農作物生産の約7割が海外に移り、その相当部分が中国に依存している。中国企業は共産党に対する義務を負っており、取得した知的財産や営業秘密を本国に報告して生産移転を加速させてきた」と指摘した。そのうえで、「食料不足を経験した中国の習近平国家主席は、常に自国の食料安全保障を最優先しており、米国企業が保有する遺伝子改良技術などの獲得によって、数年以内にトウモロコシや大豆の自給を達成する可能性がある」と分析した。

AFPIは、米財務省の対米外国投資委員会(CFIUS)が中国国有企業による種子企業や食肉加工企業の買収案件を全面的に再審査し、これら企業に対して外国代理人登録法(FARA)に基づく登録を義務づけることを提案した。また「敵対国の国民による米国農地の取得は制限すべきだ」とし、「米国の土地を守るため、連邦および州レベルでの立法措置が必要だ」と主張した。トム氏は、「同盟国でも同様の脅威が認識されているか」と問われ、「付け加えることはない」と述べた。一方、AFPI研究員のロイス・フッド氏は、「日本では投資審査や土地保護に関する規制強化が進んでいる」と指摘し、「それは現在多くの国が採用している基準よりも踏み込んだ措置だ」と評価した。


















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